要約

本セッションでは、メタン排出削減に向けた世界的な取り組みのひとつである「国際メタン誓約」について紹介するとともに、メタン濃度を観測する日本の衛星GOSATの技術的成果を概観し、メタン排出削減政策の基盤となる信頼性の高い科学的知見を得るためにこうした技術やデータをどのように有効活用できるかを議論しました。

ネイサン・ボーグフォード＝パーネル氏は、国際メタン誓約の目標達成のためにはさらなるコミットメントが必要である一方、「国が決定する貢献（NDC）」にメタン削減の目標を盛り込む国が近年増加していることを示しました。石原博成氏は、二酸化炭素およびメタンの排出量観測のための衛星であるGOSATが二酸化炭素とメタンの排出量推計の正確性と透明性の向上にどのように貢献してきたか、また日本政府が他のアジア諸国の排出量測定と報告をどのように支援してきたかを説明しました。須藤洋志氏は、GOSATの技術的能力と研究成果について説明しました。レアン・ソファル氏は、カンボジアを事例として、メタン排出源のひとつである廃棄物セクターの現状と国内のメタン排出量の推計能力の限界について発表しました。林美穂は、メタン排出削減に向けて衛星データをどのように活用し、政策立案に反映させることができるかについて、展望と課題を述べました。