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全体会合 3(PL-3)
  • 2024年7月23日
  • 13:00 - 13:50
  • 同時通訳あり

国際プラスチック条約に向けた国際交渉と今後の展望

要約

本会合では、最初に、モデレーターを務めた小野洋が、プラスチック汚染に関する国際的な法的拘束力のある文書(ILBI)に合意するために進行中の交渉(プラスチック汚染に関する政府間交渉委員会:INC)の概要を紹介しました。INCでの議論はライフサイクル・アプローチに基づくものであり、循環経済、海洋プラスチック汚染への対応、脱炭素化など相乗的なアプローチが必要であること、そして幅広い論点について交渉が必要であることを指摘しました。2024年11~12月に開催される最終のINC(INC5)を前に、残された議論の時間が非常に短いことを指摘し、本会合は各専門家がINC5への期待を示すものと紹介しました。

高村ゆかり氏は、国際環境条約の専門家の立場から、プラスチック汚染が気候、汚染、生態系、健康、経済への影響と複数の関連性を持っている点を指摘し、相乗的なアプローチの必要性を強調しました。 また、定期的評価などを通じて条約の内容を進化させるなどの漸進的なメカニズムを用いて、プラスチック条約に向けた交渉を実質的に進めることの重要性を指摘しました。条約が政府の政策や企業経営に影響を与えることから、明確に定義された目標の必要性を強調しました。

粟生木千佳は、条文案においていくつかの条項で議論の集約が達成されたとはいえ、まだ議論がまとまっていないトピックがかなり残っていることを指摘しました。それらについて、問題のあるプラスチックや懸念化学物質の定義、資金課題、貿易関連措置などを挙げました。そして、今後進むべき道として、基本的な枠組みと中核的な要素に合意し、科学的証拠や各国の能力の向上に応じて、時間をかけて対策を強化していくことを提言しました。

チョウチュウ・テイワボーリハーンタグーンは、プラスチック国際条約に関する東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の立場を紹介し、プラスチック汚染による新たな脅威に対処する上での予防原則の重要性を強調しました。さらに、公平な移行のために「共通だが差異ある責任(CBDR)」を定義する必要性、プラスチック中の含有化学物質を対象とするために交渉範囲を拡大する必要性、リサイクルを促進し環境影響を削減するための重要なメカニズムとして拡大生産者責任(EPR)を含める必要性を強調しました。 最後に、ASEAN諸国は条約が責任のバランスをとり、条約実施を支援し、各国の経済を保護することを期待している、と述べました。

マリリン・メルカド氏は、モントリオール議定書のような強力な規制アプローチが環境効果を改善し、技術革新を促進することができることを強調し、より強力な規制を通じてプラスチック汚染に取り組むことが同様の利益をもたらす可能性があることを示唆しました。そして、有害な製品および化学物質、ポリマーの禁止と段階的廃止の検討、世界的な製品設計要件、途上国に対する技術的・資金的パッケージの実施などに関して条約が推進力を持つよう、INCプロセスに期待を込めました。

質疑応答では、科学技術の進歩を条約の枠組みに取り入れること、各国の国益と国内政策への影響を理解すること、プラスチック汚染への対応に関する日本とASEANの見解に焦点が当てられました。

主要メッセージ
  • 循環経済の原則を統合し、海洋プラスチック汚染に対処し、脱炭素化への取り組みを整合させる相乗的アプローチは、プラスチック汚染に効果的に対処し、持続可能な成果をもたらし得る。
  • 条約の中核となる要素に合意し、科学的根拠や各国の能力の向上に応じて対策を強化していく段階的なプロセスを経ることで、プラスチック汚染に対する対策が確実になる。
  • 条約は、問題のあるプラスチック、懸念化学物質、強力な製品設計基準の必要性といった重要な問題に取り組むとともに、途上国に対する技術的・資金的支援のパッケージも提供する必要がある。

パネルディスカッション

モデレーター
小野 洋 国際プラスチック条約政府間交渉委員会副議長(アジア太平洋地域代表)/ IGES特別政策アドバイザー
スピーカー 1
高村 ゆかり 東京大学未来ビジョン研究センター 教授
スピーカー 2
粟生木 千佳 IGES 持続可能な消費と生産領域 主任研究員/副ディレクター
スピーカー 3
チョウチュウ・テイワボーリハーンタグーン IGES バンコク地域センター プログラムマネージャー [オンライン参加]
スピーカー 4
マリリン・メルカド WWF プラスチック政策アジア地域コーディネーター [オンライン参加]
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