要約
本セッションでは、IGESとアジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)による地域主導の適応に関する共同プロジェクトの成果をもとに、持続可能な社会の実現に向けたパートナーシップ強化の重要性について議論を深めました。。パンカジ・クマールは、バングラデシュ、インド、ベトナムの河川中州での持続可能な水管理を支援するための社会水文学的アプローチに関する研究について、ボトムアップとトップダウン両方のアプローチを組み合わせた協力が、水の不安定性に対処するためには有効であるという調査結果を報告しました。次に、ビナヤ・ラズ・シバコティは、ネパール、ベトナム、フィジーでの適応促進に関する研究から、先住民の知識と国家の取り組みを統合する重要性が明らかになり、技術と先住民の知識を活用することが地域の能力開発にとって肝要であることを示しました。そして、プラバカール・シヴァプラムは、APNとの共同プロジェクトを通じて得られた知見をもとに、地域のパートナーシップを強化し、レジリエンスを向上させる方法を紹介しました。また、明確なインセンティブを伴う協力が効率的な気候変動適応と災害リスク軽減を促進することを示しました。
パネルディスカッションでは、知識共有、地域のステークホルダー間のオーナーシップ、解決策の共創の重要性が議論されました。また、セッション参加者とのインタラクションとしてリアルタイムアンケートを実施し、パートナーシップの成功要素が共有されたほか、資金の制約、地域ニーズの理解不足、多様な目標の存在、責任の欠如といった課題が指摘されました。
主要メッセージ- 地球規模の変化への対処において、社会水文学の視点が重要である。地域の知識を組み込み、水資源管理と地域の適応を促進し、社会の受容性を高める。学際的イニシアチブが研究の影響力を強化する。
- 先住民コミュニティの関与は研究の包括性を促進する。先住民の知識と国家政策との統合が地域の適応を促進し、解決策の共創を導く。伝統慣行と科学的アプローチの統合が気候変動の克服につながる。
- 明確なインセンティブと成果を共有する持続的なパートナーシップの構築が重要である。そして、長期的な協力には知識の共有と関与が不可欠である。政策と研究を実践に移すことが、気候変動適応および災害リスク軽減のカギとなる。