要約
IGESは、2021年7月に発足した「カーボンニュートラル達成に貢献する大学等コアリション」地域ゼロカーボンワーキンググループ(WG)の事務局を務めています。本セッションでは、WGの活動の中でも先進的であると評価の高い信州大学と広島大学の事例を紹介し、こうした先進的事例をいかに横展開できるかを議論しました。
茅野恒秀氏は、信州大学が、長野県内に分散するキャンパスの特性を活かし、長年にわたり学内外の様々なステークホルダーと協働し、信頼関係を構築しながら地域との連携を進めてきたこと、また、県内の自治体や企業に就職した卒業生が地域の変革の原動力となっていることを紹介しました。また、高瀬正道氏は、広島大学が「Town & Gown構想」を掲げ、持続可能な未来の実現に向け、自治体と共同し、企業の参画を得て、大学の科学技術・イノべーションを社会に実装することで社会課題の解決に取り組んできたことを紹介しました。
以上の発表を受けて、居﨑時江氏は、信州大学や広島大学を含む国内外のカーボンニュートラルに向けた先進事例を学び合うことで、地方創生や地域活性化に貢献できるのではとの期待を示しました。
主要メッセージ- それぞれの地域の特徴を活かした地域脱炭素の実現にあたり、地域の「知の拠点」であり、かつ「地の拠点」である大学が果たすべき役割は大きい。
- 先進事例を共有するネットワークや、事例から学び合える機会の設定が重要である。また、事例そのもののみならず、事例を実現するにあたっての体制や意思決定のあり方なども共有に値する。
- カーボンニュートラルに向けた取り組みを進めることは、人々の満足度、生活の質といったウェルビーイングや、産業振興、雇用創出、健康増進、財政健全化といった地方創生の要素にもつながる。「●●×ゼロカーボン」という形で、地域の多様なステークホルダーを巻き込んで、取り組みをスケールアップしていくことが重要である。