SATOYAMAイニシアティブは、生物多様性と人間の福利のためのランドスケープとシースケープのアプローチを推進する国際的な取り組みです。日本政府と国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)が2010年に愛知県で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(CBD COP10)で提唱し、承認されました。同イニシアティブが着目する社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)とは、生物多様性を維持するために管理されながら、人間生活に必要な商品やサービスを提供する生息地と土地・海洋利用のダイナミックなモザイクを意味します。
地球環境危機の要因のひとつとして、持続不可能なフードシステムが懸念されています。それは、過剰な土地・海域利用の促進、温室効果ガスや汚染の増加、そして生物多様性の損失と気候変動につながっています。一方、SEPLSは持続可能な食料生産を促進すると考えられています。SEPLS、あるいは日本で時を経て生まれた里山・里海は良い例です。
本セッションでは、SEPLSが持続可能なフードシステムの中でどのように機能する可能性があるのか、特に生産だけでなく、フードシステム全体における他の側面についても議論し、世界のフードシステムの変革を促進する可能性を探ります。SEPLSの概念とフードシステムに関する最近の科学的研究をリンクさせ、台湾およびメキシコの事例を紹介するとともに、パネルディスカッションを行います。
シルヴァナ・フリ
South American Institute for Resilience and Sustainability Studies (SARAS)、研究員;ストックホルム大学ストックホルムレジリエンスセンター、ポスドク研究員
林 華慶
台湾農業部林業及自然保育署 署長
根 誌優
苗栗県賽夏族原住民林業労働有限責任事業協同組合 理事長; 賽夏(サイシャ)族 長老
マリン・ヨンソン
Fundacion Semillas de Vida, A.C. ディレクター
孫 夏天(ポーリーナ G. カリム)
台湾農業部林業及自然保育署
ポスドク研究員; 国立東華大学 助教授
ロウラ・ペレイラ
ウィットウォータースランド大学グローバル・チェンジ研究所教授; ストックホルム大学ストックホルムレジリエンスセンター 研究員
鈴木 渉
環境省 自然環境局 生物多様性戦略推進室長