気候変動問題や生物多様性損失に象徴されるように、人間の活動による環境への影響があまりにも大きくなり、人類の生存基盤が脅かされる事態となっています。このような持続不可能な社会のあり方を見直し、持続可能な社会への移行を図る上で、現世代の利益の追求が将来世代の生存権を脅かしているという反省に立ち、将来世代の権利を意思決定に反映する試みが行われています。兵庫県では、県の環境基本計画に将来世代の意向を反映することを目的として、今年6月に大学生や高校生を中心とした若い世代を対象とした未来会議を実施しました。この未来会議は、現世代が将来世代の利益のための思考・⾏動を意思決定に反映するフューチャー・デザインの手法を取り入れて行われました。本セッションでは、専門家によるフューチャー・デザインの紹介を踏まえ、兵庫県から未来会議の事例を、そして若い世代の活動家から将来世代の意見を国や自治体の政策に反映するための取り組みについてそれぞれ紹介し、今後の課題などについてパネルディスカッションで議論を深めました。
大阪大学大学院工学研究科 教授
原 圭史郎
大阪大学大学院工学研究科 教授
東京大学工学部都市工学科卒業、同大学院新領域創成科学研究科博士課程修了。2016年4月 大阪大学大学院工学研究科准教授、2019年10月 同教授。2021年より同研究科テクノアリーナ最先端研究拠点「原フューチャー・デザイン革新拠点」拠点長。2016年10月から2018年3月まで経済産業省製造産業専門官(転籍出向)として産業イノベーションに向けた技術政策を担当。環境科学会理事、経済産業研究所(RIETI)コンサルティングフェロー、近畿地域エネルギー・温暖化対策推進会議 議長 なども務める。
兵庫県環境部 環境政策課 副課長兼政策班長
江本 慶子
兵庫県環境部 環境政策課 副課長兼政策班長
1996年に兵庫県庁入庁。税務を皮切りに、スパコンなどの科学技術振興、水素の普及などのエネルギー政策、私学教育などの業務を歴任。
今年度より環境部に配属され、兵庫県環境基本計画の見直し等に従事している。
特定非営利活動法人夢ノ森伴走者 CUE 代表
向山 遥温
特定非営利活動法人夢ノ森伴走者 CUE 代表
職業 おたすけまん。2005年生まれ(19歳)
小学校5年生の時に政治家の方のお話を聞いたことをきっかけに政治新聞の発行をはじめ、国や市に対する請願や陳上の実施、議員へのロビー活動、高校生になってからは学生団体を立ち上げて環境啓発活動を行う。
現在はNPO法人を立ち上げて里山を生かした社会を動かす根拠となる事例づくりに取り組むとともに、兵庫県環境審議会公募委員、GEOC 次世代メンバーとして環境問題に関する政策提言にも取り組んでいる。