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アジアを変革する―ネット・ゼロ排出に向けたグリーン・リカバリーの課題と機会

気候変動とCOVID-19感染症の二重の危機の下、温室効果ガス排出量を正味ゼロ(ネット・ゼロ)とすることは、パリ協定の長期的な気温目標を達成するためだけでなく、森林を炭素吸収源として保護するなど人間と自然の関係を回復するための不可欠な目標です。2020年の国連総会において中国政府は2060年の炭素中立実現を宣言しましたが、アジアにおいては、ネット・ゼロの実現に向けた社会の変革に関する議論は始まったばかりです。本セッションでは、中国、インド、ASEAN(インドネシア)より第一線の研究者を招待し、アジアにおける将来の開発ニーズ、地政学、社会および技術の変化等を考慮してネット・ゼロ排出に向けたグリーン・リカバリーの課題と機会について議論します。

スピーカー

IGES 気候変動とエネルギー領域
ディレクター/上席研究員

発表資料(2.9MB)

田村 堅太郎

田村 堅太郎

IGES 気候変動とエネルギー領域 ディレクター/上席研究員

ロンドン大学経済政治学院(LSE)大学院博士課程修了(国際関係学博士)。
横浜国立大学エコテクノロジー・ラボラトリー講師を経て、2003年よりIGES勤務。研究テーマは国際気候変動枠組みの制度設計および主要国の気候・エネルギー政策決定プロセス。気候・エネルギー政策の分野で多くの査読論文、編集本を出版している。

エネルギー研究所(ERI) 上席研究員

発表資料(1.4MB)

姜克隽(ジャン・ケジュン)

姜克隽(ジャン・ケジュン)

エネルギー研究所(ERI) 上席研究員

姜克隽氏の研究の焦点は、IPACモデリングを使用したエネルギー、気候変動の緩和、大気汚染防止の政策評価であり、国の5カ年計画と長期計画をサポートしています。彼は1990年からERIで研究を開始し、中国の統合政策評価モデル(IPAC)の開発を主導しました。IPACモデリングチームは現在、ベンチマーク研究結果を提供することにより、中国の2050年のエネルギー転換研究に関する主要な研究チームとなっています。主な研究対象には、エネルギーと排出のシナリオ、エネルギー政策、エネルギーシステム、エネルギー市場分析、気候変動、地域の環境政策、国際交渉などがあります。彼はまた、IPCCの1997年からの排出シナリオに関する特別報告書および、ワーキンググループIII第3次評価報告書の著者であり、IPCC WGIII AR4第3章およびGEO-4第2章の主筆であり、IPCC AR5のWGIII、 IPCC AR5統合報告書、1.5℃警告に関するIPCC特別報告書の主筆でもあり、GEO6の副共同議長も勤めています。2010年から、彼はUNEP Emission Gapsの執筆も手掛けており、現在、彼はIPCC AR6 WGIIIの主筆でもあります。彼はまた、EMF、FP6、FP7、H2020研究プロジェクトなどの国際的な研究協力プロジェクトにも参加しました。彼はUNEP CCACの科学審査団、およびIAMCの科学委員会のメンバーです。東京工業大学社会工学部、博士。

政策研究センター(CPR) 教授

発表資料(1.2MB)

ナブロズ・ケルシ・ドゥバシュ

ナブロズ・ケルシ・ドゥバシュ

政策研究センター(CPR) 教授

ナブロズ・ケルシ・ドゥバシュ氏はインドにある政策研究センターの教授を務め、過去25年間、気候変動、大気質、エネルギー、水に関する世界及びインド国内の議論に積極的に関与してきた。同氏は気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の統括執筆責任者、UNEPギャップレポートの運営委員も務める。インドの低炭素開発のための長期戦略に関する委員会委員を含め、10年以上インド政府の気候変動、エネルギー、大気、水関連政策の顧問を務めてきた。最近オクスフォード大学出版より書籍“India in a Warming World”を出版した。2015年に同氏の一連の気候変動研究がTN Khoshoo記念賞を受賞し、2018年には共著論文がEnvironmental Research Letters誌よりEmerging Nations賞を受賞した。

ボゴール農業大学 東南アジア・大洋州における気候リスク・機会管理センター 所長

発表資料(1.3MB)

リザルディ・ボア

リザルディ・ボア

ボゴール農業大学 東南アジア・大洋州における気候リスク・機会管理センター 所長

リザルディ・ボア教授は現在、インドネシアにあるボゴール農業大学 東南アジア・大洋州における気候リスク・機会管理センターの所長を務めています。1998年以来、温室効果ガス緩和戦略と気候変動への適応に関連する問題に取り組み、低炭素開発に向けた政策に関連する多くの研究にも精力的に取り組んでいます。 低炭素開発に関連する最近の仕事としては、泥炭地の生態系への圧力を減らし、森林への農業の拡大を減らし、国際都市協力プログラムの下での気候行動計画の開発において市政府を支援するリアウ地方ベンカリス地区の低炭素開発戦略があります。1994年にオーストラリアのシドニー大学で博士号を取得しています。

IGES 研究顧問

甲斐沼 美紀子

甲斐沼 美紀子

IGES 研究顧問

IGES研究顧問。1977年に国立環境研究所(NIES)に入所し、1990年から、全球に加えて、アジア太平洋地域に注目した気候安定化のための政策オプションの検討に用いる、アジア太平洋統合評価モデル(AIM)の開発に取り組む。2009年から2014年まで環境省地球環境研究総合推進費戦略研究「アジア低炭素発展プロジェクト」の研究統括を務め、また、2003年から2014年まで北陸先端科学技術大学院大学の客員教授を務めた。最近では、アジアにおける低炭素社会構築、エネルギーシステム、社会的発展に研究の重点を置いている。また、国際ジャーナルや本で論文を発表してきており、主な著作等として、Climate Policy Assessment (2003)、Methodologies for leapfrogging to low carbon and sustainable development in Asia (2017)、Post-2020 Climate Action: Global and Asian Perspectives (2017)等が挙げられる。 これまでの受賞歴として、環境科学会学術賞(2011年)、科学技術への顕著な貢献2010(ナイスステップな研究者)(2010年)、日経地球環境技術大賞(1994年)等がある。同氏はまた、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次及び第5次評価報告書と、IPCC 1.5℃特別報告書のリードオーサーを務めた。また、国連環境計画の第6次地球環境概況(GEO-6)の統括執筆責任者を務めた。2016年には、フォーブスジャパン「世界で闘う日本の女性55」に選出された。