• 本会合 1
  • 2021年11月24日
  • 14:00 - 14:30

生物多様性の損失を食い止める条件とは

  • 英語(同時通訳あり)

生物多様性条約における「2002-2010戦略計画」は生物多様性の損失を食い止めることが目標でしたが、10年前の2010年、達成することができなかったと発表されました。その経験を経て当時新たに設定された「生物多様性愛知目標」は、これまで様々な領域で成果を上げてきたものの、どの目標も完全には達成することができませんでした。それらの理念と目標をこれから引き継いでいくのが、まもなく採択されるであろう「ポスト2020年生物多様性枠組」であり、自然と調和した生活を目指す世界の願望を表現する手段として機能することが求められています。一方で、気候変動の影響はますます大きくなり、世界の人口は増え続け、資源の消費量は過去最高を更新し続けています。他方、この数十年、人類は開発の他の分野で目覚ましい進歩を遂げています。貧困は劇的に減少し、平均寿命は延び、自然災害や凶悪犯罪で死亡する人の数は減り、民主主義国家は独裁国家に比して過去最高の割合を示しています。生物多様性、そして環境がこのような成功の流れに乗るためには、何が必要なのでしょうか。このセッションでは、問題を整理し、そういった問いに答えることを試みます。

スピーカー

IGES 生物多様性と森林領域 プログラムディレクター

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アンドレ・マーダー

アンドレ・マーダー

IGES 生物多様性と森林領域 プログラムディレクター

アンドレ・マーダー氏は国際的な生物多様性政策を専門とする保全生物学者である。2018年7月にIGESに入社。それ以前までは、3年間スイスに拠点を置き、ヨーロッパと中央アジアのIPBES地域アセスメントの調整を担当。それ以前には、カナダの生物多様性条約事務局で4年間、地方レベルで条約の実施を監督、南アフリカのICLEIの都市生物多様性センター(Cities Biodiversity Centre)で5年間、「生物多様性のためのローカルアクション(Local Action for Biodiversity)」イニシアティブの責任者を務めた。その他、アフリカや中東で、地方レベルの政府関係者の能力開発、様々な生態学的フィールドワーク、野生生物繁殖センターの設立事業への参加、自然保護区の管理などを行ってきた。

生物多様性条約事務局 事務局長

エリザベス・マルマ・ムレマ

エリザベス・マルマ・ムレマ

生物多様性条約事務局 事務局長

ムレマ氏は20年以上にわたり国連環境計画(UNEP)に勤務し、生態系副部長や法務部長、移動性野生動物種の保全に関する条約UNEP事務局の事務局長などを歴任。UNEPにおける職務は、国家、地域、国際レベルでの環境法の草案、施行、そして取り締まりに焦点を当てていた。2021年、ムレマ氏の功績を称えIUCN世界環境法委員会がUNEPと共同でニコラス・ロビンソン賞を授与。

IGES 理事長

武内 和彦

武内 和彦

IGES 理事長

1974年東京大学理学部地理学科卒業、1976年同大学院農学系研究科修士課程修了。農学博士。東京大学アジア生物資源環境研究センター教授などを経て、1997年より2012年まで同大学院農学生命科学研究科教授、2008年より2016年6月まで国連大学副学長・上級副学長。2012年4月より東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)機構長、教授/特任教授。2017年7月より公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)理事長。2019年4月より東京大学未来ビジョン研究センター特任教授。中央環境審議会会長、Sustainability Science誌(Springer)編集長、Distinguished Chair, Wangari Maathai Institute for Peace and Environmental Studies, University of Nairobi等を兼務。

専門は、緑地環境学、地域生態学、サステイナビリティ学。

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