水素はエネルギー・非エネルギーの用途を問わず、クリーンな燃料として大きな可能性を秘めています。水素の効率的な利用と燃料電池の開発は、野心的な脱炭素目標に向けてアジア経済を加速させる役割を担う潜在性を有しています。高度な水素技術を持つ日本は、新しい水素インフラのバリューチェーンを支えるため、国内外においてその開発を推進しようとしています。この計画は、日本が水素社会を確立し、世界をリードしていこうとする意志の表れでもあります。この達成には、既存技術を別分野へ応用し、水素バリューチェーンの確立する上で重要な国々とよりハイレベルな相互依存関係を構築することが必要です。本セッションでは、以下の3つの重要な側面から考察します。
アジアにおける水素の開発のために既に存在する政策と技術の検討
アジアの水素社会の潜在性を測る、経済的、技術的、地政学的な検証
グリーン水素普及の鍵となる地域協力の枠組みの検討 グリーン水素を開発してクリーンエネルギーへ貢献することは、アジア諸国のネットゼロ達成を加速させる貢献にもつながることが期待されています。
IGES 気候変動とエネルギー領域 リサーチマネージャー/コーイノベーションテクノロジートランスファーリーダー
ナンダクマール・ジャナルダナン
IGES 気候変動とエネルギー領域 リサーチマネージャー/コーイノベーションテクノロジートランスファーリーダー
ナンダクマール・ジャナルダナン博士は、地球環境戦略研究機関(IGES)の気候変動とエネルギー領域のリサーチマネージャーと、コーイノベーションテクノロジートランスファーリーダーを兼任している。
エネルギーと気候政策を専門とし、エネルギー地政学、再生可能エネルギー、原子力に関する研究にも関心を持ち、国際的に評価の高い政策シンクタンク、研究機関、大学とも協力関係を持っている。
国際エネルギー機関(IEA) エネルギー市場・安全保障局長
貞森 恵祐
国際エネルギー機関(IEA) エネルギー市場・安全保障局長
貞森恵祐氏は2012年10月に国際エネルギー機関(IEA)のエネルギー市場・安全保障局長に就任しました。それ以前は、経済産業省大臣官房審議官(政策統合調整担当)を務めていました。また、IEAの日本代表や長期協力問題常設作業部会の共同議長を務めるなど、IEAとの関りは長きにわたります。貞森氏は長年内閣にも務め、2011年3月の福島第一原子力発電所事故後の業務を含め、数多くの重要なプロジェクトの調整を担ってきました。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 燃料電池・水素室長
大平 英二
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 燃料電池・水素室長
大平英二は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の燃料電池・水素室長として、NEDOの燃料電池・水素に関する研究・開発・実証プロジェクトの全体的な戦略・実行・調整を担当しています。
また、国際エネルギー機関(IEA)の技術協力プログラム(IEA TCP:Advanced Fuel Cell & Hydrogen)や、国際水素・燃料電池パートナーシップ(IPHE)を通じて、国際的なステークホルダーと燃料電池・水素の活動の調整を行っています。
1992年に東京理科大学を卒業すると同時にNEDOに入社し、1997-1998年はマサチューセッツ工科大学客員研究員を務めました。
2013年4月に現職に就任する前は、NEDOアジア代表事務所代表、エネルギー貯蔵技術部長などを歴任しています。
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)イノベーション・テクノロジーセンター所長
ドルフ・ギーレン
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)イノベーション・テクノロジーセンター所長
ドルフ・ギーレン氏は、2011年より国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のイノベーション・テクノロジーセンターの所長を務めています。25年以上にわたり、エネルギー移行戦略の策定と実施、および国際的な技術政策に携わってきました。オランダのデルフト工科大学で博士号を取得しています。
IGES 気候変動とエネルギー領域
プログラムディレクター
田村 堅太郎
IGES 気候変動とエネルギー領域 プログラムディレクター
ロンドン大学経済政治学院(LSE)大学院博士課程修了(国際関係学博士)。
横浜国立大学エコテクノロジー・ラボラトリー講師を経て、2003年よりIGES勤務。研究テーマは国際気候変動枠組みの制度設計および主要国の気候・エネルギー政策決定プロセス。気候・エネルギー政策の分野で多くの査読論文、編集本を出版している。
IGES 特別政策アドバイザー
森 秀行
IGES 特別政策アドバイザー
京都大学大学院工学部工業化学科修士課程修了。1977年環境庁(現環境省)入庁。アジア開発銀行(ADB)環境専門官、国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)シニア環境コーディネーター、環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課研究調査室長、国連環境計画(UNEP)GEF担当ポートフォリオマネージャーなどを経て、2003年にIGES 長期展望・政策統合プロジェクトリーダーに就任。慶応大学大学院政策・メディア研究科特別研究教授(2008年~2010年)。2010年4月から2020年10月までIGES所長を務め、2020年11月より現職。