気候変動に対してレジリエントな社会を構築し、パリ協定に定められている世界全体の適応目標(GGA)を達成するためには、気候科学、政策、および政策の実践を相互に補完し合うことが重要です。日本のイニシアチブであるアジア太平洋気候変動適応情報プラットフォーム(AP-PLAT)は、アジア太平洋地域において気候変動リスクを踏まえた最良の科学に基づく意思決定と実効性の高い気候変動適応策の推進を支援することを目的としています。具体的には、AP-PLATは「科学的情報基盤」および「支援ツール」の整備、並びに「能力強化」の取り組みを、域内の各国や自治体、関係機関等との協働を強く意識しつつ推進しています。
本セッションでは、AP-PLATの取り組みの中でも特に「能力強化」の活動に焦点を当て、これまでの活動を振り返るとともに、アジア太平洋地域全体を見据えた今後の展望を俯瞰します。本セッションは適応政策の研究者、気候科学ツール開発者、および能力強化プログラムに参画している途上国の気候政策実務担当者を招き、科学と政策の橋渡しをいかにして効果的に行うか、気候変動の緩和と適応を統合的に推進するための方策、AP-PLAT能力強化プログラムの意義や役割等について議論を行い、気候変動にレジリエントなアジア太平洋地域の形成に向けた課題を検討するほか、AP-PLATにおける今後の能力強化事業に関する提言のとりまとめを目指します。