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閉会セッション(CL)
  • 2023年12月19日
  • 17:00 - 17:45
  • 同時通訳あり

ISAPを若い世代と振り返る:50年後の私たちへ

要約

本セッションは、今回のISAPで議論されてきたことを、環境や持続可能な開発の分野で活動する若いリーダーたちと振り返り、その上で50年後の未来を自由に描く目的で行われました。長谷川諒氏は、全体会合の聴講を通じて、1.5℃目標への進捗の遅さや、その目標に向かってあらゆる主体が参加していない現状を認識した上で、気候変動を抑えるだけではなく、自分たちのウェルビーングのために合意し行動に移していくことの重要性について言及しました。金武朝陽氏は、地域循環共生圏のセッションを聴講し、地域愛や市民参加によるコミュニケーションの重要性を感じたと述べました。東忠透氏は、大気汚染に関するセッションを聴き、これからは日本が途上国に技術移転をするという立場から、学び合い互恵的な関係を築きながら持続可能な開発を進めていく必要性を述べました。侵略的外来種とその管理に関するテーマ別評価報告書のセッションを聴いた芝崎瑞穂氏は、生物多様性の問題が食料安全保障や健康に繋がっていることに言及しました。そして、若者世代が努力するだけでなく、あらゆる世代が協働する必要があると呼びかけました。山辺アリスは、今回のISAPを通じて統合的アプローチの重要性を再認識し、マイノリティーやインフォーマルセクターの人々の声を政策に取り入れる、気候市民会議やEガバナンスの例からインスピレーションを受けたと語りました。

こうしたISAPでの気付きをもとに50年後の未来を考えるにあたり、川上毅は、現在の経済社会活動は共時的であり、利害関係や資源の枯渇、環境汚染などがそのまま次世代に受け継がれることを問題視し、通時的な社会規範を深化させる必要があると述べました。それを受けて、各パネリストが描く50年後の未来像の共有がありました。山辺は、2050年のネット・ゼロ世界を食の分野から展望し、食料システムの転換には「健康にも地球にも優しい食生活」、「すべての人に食料安全と栄養」、「食卓からごみを出さない循環システム」が鍵になると論じました。その上で、プラネタリーヘルスダイエット、地産地消、フードスケーピング(食べられる景観)などの概念を提案しました。芝崎氏は、気候変動対策と生物多様性のシナジー強化、住み続けられる都市・地域社会、農林水産業の活性化をこれからの重点として挙げ、その大前提としてのネイチャーポジティブを説きました。東氏は、データに基づくポリシーとトレンドが一致・近似することが重要とした上で、ブーメラン消費(ブーメランプション)という概念を提案し、製品がどうリサイクルされて手元に戻ってきているかがわかる世界を想像しました。また、視覚的にわかる多様性以外の、顕在化しにくい多様性について言及し、思想的な多様性が二極化しないよう、連帯のため互いを尊重して議論していくべきだと述べました。金武氏は、50年前のエコロジカルフットプリントが地球1個分であったとすると現在は1.7個分であるため、お茶を急須でいれるなど、あるべき社会に戻るような生活を推奨しました。長谷川氏は、個の意識とプラネタリーヘルスの同期、生産と消費の統合、自律循環型地域と経済合理の超克が進んでいる世界を展望し、一定の物理的に近い距離間の中で循環する社会を提案しました。

最後に、50年後の未来社会を具体的にイメージしたビデオを投影し、本セッションのまとめとしました。

パネルディスカッション

モデレーター
川上 毅 IGES 事務局長
長谷川 諒 合同会社小田原かなごてファーム / 株式会社 あしがら森の会議 / 千葉エコ・エネルギー株式会社
金武 朝陽 Climate Youth Japan 関西チーム代表
東 忠透 持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム
芝崎 瑞穂 Change Our Next Decade 代表理事
山辺 アリス IGES 持続可能な消費と生産領域 研究員
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ISAP2023 ポスターセッション

今年のISAPでは、メイン会場であるパシフィコ横浜5階のエレベーター前のスペースで、ポスターセッションを実施します。ポスターセッションとは、研究員がそれぞれの研究や活動を紹介するポスターを貼り出し、関心のある方・お立ち寄りいただいた方にその内容を直接ご説明する発表形式で、国際会議や学会などでは一般的な発表方法です。

IGESではISAPの会合で取り上げられているトピック以外にも、様々な研究や活動が行われています。そうした多様なプロジェクトについて、研究員と直接対話していただけます。研究員たちにとっても、質問を受けることによる新たな気づきや、同じような研究をしている方との繋がりなど、得るものが多いのがポスターセッションです。会場にお越しの際には、ぜひポスターの発表者に気軽に声をおかけください。ステージからの発表を聞くセミナーとはまた違った、ポスターセッションならではの会話のキャッチボールをお楽しみください。

さらに、今回はスペシャル企画として、生物や科学に興味を持つ中学生・高校生もポスターセッションに発表者として参加してくれます。IGESの研究員と肩を並べて自分の研究を発表する、若き研究者の卵にもご注目ください。

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