要約

本セッションでは、インドの大気汚染改善への取り組みについて、日印協力に焦点を当て、これまでの活動や成果などを共有し、今後の協力強化や課題解決に向けて議論を深めました。

濵⼝俊典とプロサント・パル氏は、日本・インド技術マッチメイキング・プラットフォーム（JITMAP）を通じた日本の環境技術の移転促進活動とその成果を紹介し、プロジェクト形成や対象技術の拡大、現地パートナーとの連携強化に基づく今後のスケールアップの方向性を示唆しました。スジット・ドーラム氏は、国家大気浄化計画の策定・実施や課題を紹介したうえで、日本の支援によるムンバイ湾横断道路の成功例を挙げ、インフラ整備や共同研究開発の重要性や規制面での協力の可能性を指摘しました。林田佐智子氏は、農家の稲藁焼きとデリーの大気汚染の因果関係に係る日印共同研究を紹介し、稲藁焼きが住民の健康にも悪影響を及ぼしていることに言及したうえで、稲藁焼きを減らすために市場価値の高い作物への移行やバイオマス燃料として使用転換するなどの体制構築が課題であると指摘しました。小林剛士氏は、大気汚染発生源の解析・低減に係る対策と大気質モニタリング技術向上の重要性を指摘し、日本環境技術協会はインド政府と協力して大気汚染改善に取り組んでいくと述べました。ナンダ・クマール・ジャナルダナンは、大気汚染は公衆衛生的な問題でもあり、日本の経験の共有を期待するとともに、日印でのコ・イノベーション*の必要性に言及しました。

*技術を共同で革新し、創出し、スケールアップするための協調的かつ反復的なアプローチ