- 2025年7月29日
- 15:10 - 16:40
- 501 会場限定
- 英語のみ
未来のSDGsの担い手を、日本のフロントランナー地域と共に育成する
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要約
本セッションでは、2024年度にIGESが実施した「環境課題から学びと社会をつなぐ持続可能な開発目標(SDGs)グローバル人材育成プログラム」の成果について、参加した大学生および訪問を受け入れた地域のステークホルダーを交えて、意見交換を行いました。このプログラムは、文部科学省の「令和6年度ユネスコ活動費補助金・SDGs達成の担い手育成(ESD)推進事業」の一環として、実施されたものです。SDGsが達成される社会のリーダーを目指す国際色豊かな17名の大学生・大学院生が全国から公募により選抜され、このプログラムに参加しました。環境問題の克服を起点に、社会・経済への好循環を創出している日本のSDGsモデル地域(徳島県上勝町、福岡県北九州市、熊本県水俣市)を2024年9月に2週間かけて訪問しました。多様なステークホルダーが奮闘・協働している現場を視察し、生の声を聞くことを通じて地域創生のカギを探りました。訪問研修の後は、それぞれの所属大学において、体感した学びを他の学生にも広める報告会を自主的に企画し、行動の第一歩を踏み出しました。
本セッションの冒頭、主催者のIGESより、このプログラムの背景や意図について説明しました。このプログラムは、学生への一方的な学習材料の提供のみではなく、地域へのリターンや学生からのアウトプットをデザインした双方向型であることや、ユネスコが提唱するサステナビリティ人材のコンピテンシー(特に、システム思考、自己認識、協働、総合的問題解決など)を育成する目的があることを示しました。前半は、6名の大学生・大学院生がパネリストとして登壇し、このプログラムから何を学んだのか、をリレー形式で共有しました。続いて、地域のステークホルダー(株式会社北拓(北九州市)、水俣環境アカデミア(水俣市)、INOW(上勝町))から、このプログラムを受け入れたことによって何を得たのかについて共有しました。後半は、学生が、将来どのようなSDGsの担い手になりたいか、どのようなサステナビリティ人材を目指すのかについて言語化していきました。続いて、地域のステークホルダーとともに、SDGsの担い手をどのように地域で育成していくか、どのような若手人材を必要としているかについて、インタラクティブな意見交換を行いました。
サマリ―作成者: 大田 純子(OTA Junko)
パネル討論

大田 純子
IGES 北九州アーバンセンター
リサーチマネージャー
同志社大学大学院ビジネス研究科
グローバル経営研究専攻修士課程 学生

アレハンドラ・マリッツア・ロダス・アロチェ
同志社大学大学院ビジネス研究科グローバル経営研究専攻修士課程 学生
グアテマラ出身。同志社大学グローバルMBA課程において、イノベーション、サステナビリティ、テクノロジーを研究している。2024年、IGES主催のSDGs研修およびイタリアで開催された世界リサイクリング会議に参加。修士論文では、AIと循環型経済の原則を活用した持続可能な製品デザインをテーマに、消費者の認識や環境への影響を考察している。
京都大学地球環境学舎地球環境学専攻 学生

ハンガ・プリハトマジャ
京都大学地球環境学舎地球環境学専攻 学生
インドネシアにてサステイナビリティ認証制度に係る監査業務に13年間従事し、また同時に気候変動緩和分野のコンサルタントとして活動した経験を経て、現在は京都大学大学院地球環境学舎博士課程に在籍し地球環境政策を専攻している。日本学術振興会(JST)および三菱UFJ信託財団の支援を受け、京都大学の大学院教育支援機構にも所属。現在は、気候変動、林業、サステイナビリティの分野における先導的な研究コンサルタントを目指し、MIDORI Forestry の設立に取り組んでいる。
上智大学総合グローバル学科 研究支援員

ショート 真菜
上智大学総合グローバル学科 研究支援員
上智大学サステイナブル・フューチャーズ・プログラムにて主にRegenerative education(再生的教育)と草の根の環境運動を研究、国際関係学の学士号を取得。現在、東京における都市型流域ガバナンスとグリーンインフラに関する調査と日本各地のアグロエコロジー運動に関する研究の2つのプロジェクトでリサーチ・アシスタントを務めている。学術活動の枠を超えて、地域に根ざしたサステイナビリティの取り組みにも積極的に関わっており、地域コミュニティが社会・生態系の課題にどう連携して取り組んでいるかを研究している。
東京科学大学環境・社会理工学院
博士課程後期 学生

マリアム・アルナクビ
東京科学大学環境・社会理工学院博士課程後期 学生
東京科学大学環境・社会理工学院大学院生。日本における在日アラブ首長国連邦(UAE)ユース・カウンシル会長として、UAEと日本の文化的・戦略的な関係強化に取り組んでいる。また、STEM分野におけるジェンダー平等とインクルージョンを推進する団体"Women in Science Tokyo(WiST)”の創設者兼代表でもあり、共通の志を持つ個人や団体との連携の機会を大切にしている。
叡啓大学ソーシャルシステムデザイン学部 学生

マーティン・ロゲリオ・ブスタマンテ・アントニオ
叡啓大学ソーシャルシステムデザイン学部 学生
メキシコ出身。広島県叡啓大学ソーシャルシステムデザイン学部在籍。サステナビリティや平和構築に強い関心を持ち、UNITARやYMCAといった国際機関と連携して活動している。アジア太平洋地域の若手リーダー育成を目的とした国際プログラム”APNG Camp(Asia Pacific Next Generation Camp)”にも参加し、同地域におけるイノベーションの促進に貢献してきた。地域内の若手リーダー同士の対話と協力を深め、異文化間のつながりを通じて持続可能な未来をともに築くことを目指している。
また、世界を形作るシステムを理解したいという探究心から、サステナビリティ、経済発展、市場の動きが交わる領域に目を向けている。現在は、食料自給を目指すスタートアップを含む複数のプロジェクトを主導し、包摂的で強靭なコミュニティづくりに取り組みたいと考えている。
京都大学大学院エネルギー科学研究科 学生

北川 桜子
京都大学大学院エネルギー科学研究科 学生
小学校3年生で東日本大震災、それに伴う停電を経験し、電気がない生活の不便さや現在の電力システムの仕組みに対する違和感から、分散型エネルギーシステムに興味を持つ。
東北大学工学部でエネルギーについて工学の観点から学びを深め、エネルギーをより多角的な視点で考えられるようになりたい、という思いで京都大学エネルギー科学研究科に進学。現在は、人口減少・需要縮小が予想される日本の地方において、長期の投資回収が必要な分散型エネルギーシステムの導入は経済的・社会的にサスティナブルになりえるか?日本の各地域に根付く、長い歴史が紡いできた営みや文化、伝統技術、寺社仏閣をどのように後世に残し、活かしていくか?など、地域持続性×再エネ分散型エネルギーシステムを探求中。
水俣市役所 水俣環境アカデミア 所長

古賀 実
水俣市役所 水俣環境アカデミア 所長
水俣環境アカデミア(熊本県水俣市)所長。理学博士。環境分析化学を専門として産業医科大学や熊本県立大学等で長年教育・研究に従事し、熊本県立大学では学長も務めた。
水俣病の経験と教訓を未来に活かす「知の拠点」としてアカデミア設立から携わり、水俣市を訪れる国内外の学生や専門家との対話や交流を通じて、持続可能な地域社会の実現に尽力している。
株式会社北拓 総務部総務課長

伊藤 嘉隆
株式会社北拓 総務部総務課長
2019年から株式会社北拓に入社し、現在、同社の北九州支所に勤務している。総務部総務課長として、風力発電のO&M(運用・保守管理)やトレーニング事業に牽引している。
北九州市立大学法学部政策課学科を卒業し、北拓入社前は、北九州市役所の自治体職員であった経験も持つ。
INOW 共同創業者

シル・ヴァン・デ・ヴェルデ
INOW 共同創業者
シル・ヴァン・デ・ヴェルデは、教育、自然保護、持続可能な観光開発を専門にしている。サハラウィ族やドゥスン族と協働し、国境を超えて移動することが、環境負荷が不平等にもたらされている現実への理解を促し、より包括的で、ポストヒューマニズム的な視点を育む可能性を探った。
現在は、日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言を行った徳島県上勝町にて、ソーシャルエンタープライズ「INOW(イノウ)」を立ち上げ、持続可能な暮らしや循環型経済、地域創生をテーマに、地元住民、学生、世界各地の専門家がともに学ぶ体験型プログラムを提供している。こうした実践的な活動や異文化交流を通じて、INOWはグローバルな視点と地域の取り組みをつなぎ、消費する暮らしや他者との共生について考えを深めるきっかけをつくっている。この活動には、互いを尊重し、ゴミを出さず環境に責任を持つ循環型社会を目指して、コミュニティを育んでいきたいという思いが込められている。