- 2025年7月29日
- 9:20 - 9:30
- 503 + オンライン
- 同時通訳あり
基調講演
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要約
アルミダ・S・アリシャバナ氏は冒頭、世界では多国間主義が岐路に立たされており、持続可能性に関する国際目標の達成が危ぶまれていると強調しました。統合的な課題解決を図るシナジーの強化、そして持続可能な社会への公正な移行の重要性が高まっており、今回のISAPのテーマ設定は時宜を得たものであると述べました。
世界人口の6割が集中するアジアでは、深刻な大気汚染による健康影響、海洋の温暖化、生物多様性の損失といった課題への政策対応が依然として縦割りで断片的であることが多く、統合的に取り組む機会を逃していると指摘しました。そして、私たちの行動こそが将来のあり方を左右すると述べました。
自然に基づく解決策(NbS)や循環経済の取り組みをはじめとする統合的なアプローチでは、費用対効果の高いシナジーを創出し、多くのコベネフィットを活用することができると指摘しました。そして、今後の優先課題として、①国家計画・予算におけるシナジーの主流化、②都市とコミュニティのシナジー推進支援、③シナジーを中核としたポスト2030アジェンダの策定、を挙げました。加えて、知見共有や調和のとれた戦略策定、地域協力などもシナジーを推進する上で不可欠であると強調しました。また、大気汚染や海洋プラスチック汚染、気候変動による強制移住などの国境を越えた問題に対しても、シナジーを重視する統合的なアプローチが有益であると指摘しました。国連アジア太平洋経済社会委員会では、IGES、国連環境計画、アジア開発銀行などとともにアジア太平洋版シナジーレポートを作成中であり、シナジーに基づく統合的な解決策への道筋を示していくと述べました。
加えて、公正な移行の重要性についても言及しました。エネルギーと産業のグリーンシフトは、特定の労働者や産業セクター、コミュニティに多大な影響を及ぼすことが予想され、公正な移行がなされない場合には、抵抗が高まり、移行が困難となる可能性もあると指摘しました。リスキリングの支援やコミュニティ主導の計画策定など、包摂的な形で公正な移行を追求する必要があるとの見解を述べました。
世界情勢が変動する中、アジアには、持続可能でレジリエントな社会の実現に向けた共通の強い意志があると強調しました。そして、今回のISAPにおいて実りある有意義な議論が展開され、アジアのパートナーシップが一層強固なものになることを願うと述べました。

アルミダ・S・アリシャバナ
国連事務次長 / 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)事務局長