全体会合 1 (PL-1)
  • 2025年7月29日
  • 9:30 - 10:30
  • 503 + オンライン
  • 同時通訳あり

地球のトリプル・クライシスの中でアジア太平洋の持続可能性と安全保障を高めるシナジーを活かした対応

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要約

本セッションでは、最初に、モデレーターを務めた武内和彦が、気候変動、生物多様性の損失、汚染という「トリプル・クライシス」への対応においてシナジーアプローチが果たす重要な役割を振り返るフレーミングプレゼンテーションを行いました。そして、アジア太平洋地域を対象に、シナジーの最大化とトレードオフの最小化、さらに地域に根差した解決策に焦点を当てた議論を行う本セッションの趣旨を説明するとともに、IGESが作成に関わる「アジア太平洋シナジーレポート」について紹介しました。同レポートは、アジア太平洋地域が抱える多様な環境・行政課題に対応するため、地域統合の取り組みを推進し、2030アジェンダとその後に向けた議論へとつながるものであると述べ、先に開催されたマニラでの専門家会合での知見を踏まえ、分野横断的な協力の必要性を改めて強調しました。

 ベルナディア・イラワティ・チャンドラデウィ氏は、シナジーアプローチの実践における地方政府の役割を取り上げました。特に、能力格差や市民と行政の間の信頼関係の不足といった制度的かつ構造的な課題に触れ、多層的な連携がレジリエンス向上に資すると述べ、気候変動計画やデジタルプラットフォーム活用の事例を紹介しました。稲田恭輔氏は、JICAにおけるサステナビリティ方針の戦略的枠組みを取り上げ、プロジェクトレベルでのシナジーを通じて緩和と適応を推進する5つの運用フェーズを組み込んだ取り組みを説明しました。具体的な事例をもとに、気候変動・生物多様性の損失・汚染対策と開発協力の相乗効果を説明し、官民連携や資金動員を通じたサステナビリティの推進が期待されると述べました。小坂佳世子氏は、防災から脱炭素、地域レジリエンスを支える保険商品に至るまで、損害保険ジャパン株式会社の長年にわたる環境への取り組みを紹介しました。それらの経験から、自然保護や適応、排出削減に関連する商品を通じ、民間企業が地域社会の取り組みを補完し、持続可能な金融にも貢献できると主張しました。

 続くディスカッションでは、複数のSDGsを同時に達成するための具体的な道筋について議論を行いました。地域主体の生物多様性プロジェクトや、保険と連携した環境サービスなどの事例を共有し、ステークホルダー間の協働や知識共有の重要性を強調しました。また、若者や地域社会の主体的参画が不可欠であり、長期的な変革には統合的かつ包摂的な枠組みが必要であることを改めて認識しました。

主要メッセージ
  • アジア太平洋地域は、経済、環境、統治体制の多様性から、地球のトリプル・クライシスへの対応において重要な役割を果たしうる。域内の協力体制強化とともに、柔軟かつ実践的なアプローチが求められる。
  • 統合的な計画や制度的プラットフォームは、地域の安定、持続可能な開発、レジリエンス強化に向けた行動を調整するために不可欠である。多様な利害関係を調整し、実施戦略の整合性を確保するメカニズムが重要な役割を果たす。
  • 教育や包摂的活動により、若者や地域コミュニティの参画を促すと同時に、長期的な成果を確保し、国際課題を地域の文脈に即した行動につなげるべきである。

パネル討論

モデレーター
武内 和彦 IGES 理事長
 都市・自治体連合アジア太平洋地域支部(UCLG-ASPAC)事務局長
 国際協力機構 サステナビリティ推進担当特命審議役兼企画部サステナビリティ推進室長
 損害保険ジャパン株式会社 執行役員 CSuO
武内 和彦

武内 和彦

IGES 理事長

都市・自治体連合アジア太平洋地域支部
(UCLG-ASPAC)事務局長

ベルナディア・イラワティ・チャンドラデウィ

ベルナディア・イラワティ・チャンドラデウィ

都市・自治体連合アジア太平洋地域支部(UCLG-ASPAC)事務局長

ベルナディア・イラワティ・チャンドラデウィ博士は、世界的な都市・自治体連合(UCLG)ネットワークの中で最大の地域セクションであるアジア太平洋地域支部 (UCLG-ASPAC)の事務局長に女性として初めて就任しました。

ベルナディア博士は、都市開発及び関連分野において20年以上の経験を持ち、国際舞台で高く評価される人物としてその地位を確立しています。

国際協力機構(JICA)での勤務に始まり、その後、横浜に本部を置くCITYNETで要職を歴任しました。日本の複数の大学で客員教授として教鞭をとり、数多くの国際フォーラムで講演者としても活躍しています。また、専門性が評価され、2015年に国連人間居住計画(UN-Habitat)のジェンダー問題諮問グループ(AGGI)のメンバーに任命されました。その影響力ある活動は、2018年にGovInsider Asiaが選ぶ「アジア太平洋地域で変革を推進する著名な女性」の一人に選ばれ、彼女の影響力のある活動はさらに評価されました。

ベルナディア博士は、名古屋大学で大気物理学の修士号、シンガポール国立大学で公共政策の修士号、東京大学で都市工学の博士号を取得。2022年8月には、インドネシア共和国国立レジリエンス研究所の「PPRA 63」プログラムを修了。持続可能な都市開発への貢献がさらに認められ、2023年10月2日に国連人間居住計画(UN-Habitat)から特別表彰を受けました。また、国連経済社会局(UNDESA)と国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局が共同主催する「気候変動とSDGsのシナジーに関する専門家グループ」のメンバーとしても活躍しています。

ベルナディア博士の専門分野は、戦略的都市計画、気候変動、災害管理、水管理、女性のエンパワーメント、地方自治に及んでいます。UCLG-ASPACにおける彼女のリーダーシップは、数多くの成果を挙げています。彼女のリーダーシップの下、ASEAN市長フォーラム(AMF)は2018年にASEAN事務局から認定を受け、ASEANと正式に連携する唯一の地方自治体機関となりました。また、国連における地方自治体の重要な提言プラットフォームであるアジア太平洋地方自治体(APLG)調整機関の設立を主導しました。さらに、SDGsの地域化支援において重要な役割を果たし、浜松、ジャカルタ、スラバヤ、ジャンビ、バンドール・ランプン、サマリンダなどにおける自発的自治体レビュー(VLR)の策定の支援にも大きく貢献しました。

UCLG-ASPACの事務局長として、ベルナディア博士は地域総会、地域理事会、執行局の決定事項の実施に責任を負っています。

その役割には事務局の管理、プログラムの運営、財務管理が含まれ、会長府が定める戦略的方向性との整合性を確保し、執行局に報告する責任を負っています。

国際協力機構 サステナビリティ推進担当特命審議役兼企画部サステナビリティ推進室長

稲田 恭輔

稲田 恭輔

国際協力機構 サステナビリティ推進担当特命審議役兼企画部サステナビリティ推進室長

日本の国際開発機関で 30年以上のインフラ・環境ファイナンスの経験を持つ。現在はサステナビリティ推進担当特命審議役として、事業及び組織の両面からサステナビリティ関連課題(気候変動/パリ協定への整合、自然環境、その他の ESG)の組織全体への浸透を統括。これまでフランス事務所長(欧州担当)、アフリカ部審議役、DX タスクフォースメンバー、インド課長、ミャンマー事務所次長、気候変動対策副室長、企業金融部、中国事務所等を歴任。慶応義塾大学経済学部卒、英国オックスフォード大学環境変化・マネジメント修士課程修了。北京大学にて中国語を修得。

損害保険ジャパン株式会社 執行役員 CSuO

小坂 佳世子

小坂 佳世子

損害保険ジャパン株式会社 執行役員 CSuO

職歴
1993年 4月安田火災海上保険株式会社入社
2017年 4月損害保険ジャパン日本興亜株式会社人事部特命部長
2018年 4月同社秘書部特命部長
2019年 4月同社ビジネスクリエーション部長
2020年 4月当社会計統括部長
2023年 4月損保ジャパンキャリアビューロー株式会社代表取締役社長
2024年 4月当社執行役員
2025年 4月当社執行役員[CSuO](現職)
SOMPOホールディングス株式会社執行役員
グループDeputy CSuO(現職)
学歴
1993年 3月東京大学教養学部卒業
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