テーマ別会合 5 (TT-5)
  • 2025年10月10日
  • 14:00 - 15:30
  • オンライン
  • 同時通訳あり

気候変動問題の解決に向けた自然に基づく解決策(NbS)の各国の実装と現状について

気候変動問題は、国際社会が一体となって解決する問題です。1995年以降、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国会議(COP)が毎年開催され、世界での実効的な温室効果ガス排出量削減の実現に向けて、精力的な議論が行われてきました。

近年、解決策の一つとして注目を集めているのが、自然の力を活用した「Nature-based Solutions(NbS/自然に基づく解決策)」です。NbSとは、自然が有する機能を持続可能に利用し、多様な社会課題の解決につなげる考え方であり、2022年の国連環境総会(UNEA)で正式に定義されました。

COP26(2021年・英国)では、NbSが気候変動対策の柱として国際的に注目を集めました。英国政府は今後5年間で30億ポンドの国際資金をNbSに投資する方針を示し、森林保全や湿地再生、都市の緑化などの取り組みが紹介されました。公式サイドイベントでは、気候変動への緩和・適応策としてのNbSの可能性に加え、地域社会との協働、途上国への支援、国際的な資金メカニズムの整備などが議論され、NbSの多面的な価値が強調されました。

NbSは気候変動や生物多様性の損失に対する有効な対策であるだけではなく、地域のレジリエンス強化、社会と経済の発展、健康・福祉の向上など、私たちの社会が直面する複合的な課題に貢献可能なアプローチと言えます。

しかしながら、各地域の社会的・地理的背景に応じた実装や評価方法の枠組みは、まだ十分に整理されておらず、また制度構築や資金調達面でも課題が残っています。本セッションでは、日本及び各国においてNbSを研究・実践している専門家を招き、NbSに関する現在の状況や最新の知見・事例を共有します。また、参加者とのディスカッションを通じて、NbSの国内外での展開に向けた課題と可能性を探り、今後の方向性を共に考えていきます。

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