Session
気候変動にさらされるビジネスと金融:増大するリスクと機会
パリ協定が2016年11月4日に発効し、多くの国や関係者が長期的な温暖化効果ガス削減戦略や脱炭素化にむけて具体的な取り組みを始めている。気候変動リスクは全世界的に益々高まりつつあり、気候変動問題は経済や安全保障というより緊急性の高い問題として捉える必要があるとの認識が求められている。
このようななか、ビジネスや金融業界といった国以外の関係者による気候変動対策に関する具体的な取り組みが数多く見られる。例えば、ビジネスにおける炭素価格の導入、G20の金融安定理事会のもとに設立された「気候変動関連財務情報開示にかかるタスクフォース」による提言、そして化石燃料事業からの投資引き上げの増加などである。
政府やビジネスの勢いが高まってきている中国やインドといった新興国においても、脱炭素化や持続可能な発展の実現にむけて具体的な取り組みが強化されてきている。
本セションにおいては、ビジネスや金融分野において国際的に主導的な役割を担っている専門家を招き、気候変動におけるリスクと機会に関する国際的な動向、本業において気候変動への取り組みを強化することによる経済的便益と課題、また、ビジネスや金融が脱炭素で強靭な社会に貢献する投資にシフトしていくために必要となる重要な政策や環境整備について議論する。
SSS
玉木 林太郎
経済協力開発機構(OECD)事務次長
SSS
リジア・ノロンハ
国連環境計画(UNEP)経済局長
SSS
マ・ジュン
中国人民銀行研究局チーフエコノミスト
SSS
ヨー・リアン・シム
シンガポール取引所(SGX)特別アドバイザー/気候関連の財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)バイスチェア
SSS
金光 英之
富士通株式会社環境・CSR本部長
フレーミング・プレゼンテーション
森 尚樹
IGES戦略マネージメントオフィスエグゼクティブコーディネーター
モデレーター
浜中 裕徳
IGES特別研究顧問
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玉木 林太郎
経済協力開発機構(OECD)事務次長
1976年東京大学法学部卒。2011年8月からOECD事務次長として環境、開発、グリーン成長、金融及び税を担当。財務省での35年間の勤務において、予算、税制、国際金融、開発等の様々な政策に従事。その間、1978年-1980年と1983年-1986年の2回にわたりOECD事務局にて勤務。1994年世界銀行理事代理、2002年在アメリカ合衆国日本大使館公使、2005年財務省大臣官房審議官、2006年国際局次長、2007年国際局長、2009年財務官を歴任。
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リジア・ノロンハ
国連環境計画(UNEP)経済局長
2014年4月に就任以来、技術・産業・経済政策を通じて環境持続可能性の促進に向けた取り組みを進める経済局を率いるとともに、UNEP優先活動分野の中の気候変動、化学物質及び廃棄物、資源効率化に関するプログラムの実施を主導。これまでに国際開発研究センター、再生可能エネルギー・エネルギー効率パートナーシップ南アジア、アジアエネルギー機構等を経て、インド・エネルギー資源研究所(TERI)資源・規制・グローバルセキュリティー局長、エグゼクティブ・ディレクターを歴任。シドニー大学国際安全保障研究センター客員シニアフェローを務めたほか、インド国家安全保障諮問委員会をはじめ、インド政府やゴア州政府の専門家委員会委員、シェル・インターナショナル持続可能性報告に関する外部審査委員、グローバルアシュアランスグループ鉱物・金属・持続可能な開発プロジェクトメンバー等で幅広く活躍。エネルギーと資源安全保障、気候変動、インドの環境・沿岸政策、責任ある鉱業、資源フェデラリズム等に関する著書多数。ボンベイ大学にて修士号、ロンドン大学経済政治学院(LSE)にて修士号・博士号取得。
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マ・ジュン
中国人民銀行研究局チーフエコノミスト
中国人民銀行研究局チーフエコノミスト、中国金融学会グリーンファイナンス専門委員会会長。国務院発展研究センター研究フェロー(1988年~1990年)、国際通貨基金及び世界銀行での公共政策スペシャリスト、エコノミスト、シニアエコノミスト(1992年~2000年)を経て2000年にドイツ銀行に入行し、中国・香港戦略担当、中国担当チーフエコノミスト、マネージングディレクターを歴任。2014年中国人民銀行入行。
マクロ経済予測・政策、構造改革、環境経済学等を中心に著書多数。中国の大気汚染対策に関する経済学の近著がある。2015年半ばより中国人民銀行のグリーンファイナンス政策に関するワーキンググループを率いて中国の「グリーンファイナンス制度」策定に向けた14の政策措置を提言。
Institutional Investorランキングにおいて4年連続(2009年~2012年)でアジアのエコノミスト第1位、中国のアナリスト第1位。Asiamoney、トムソン・ロイター、Sohu Financeによる中国経済・中国戦略研究ランキングでも第1位となるなど、多くの投資家調査においてトップの評価を得る。
1988年復旦大学にて修士号(経営科学)、1994年ジョージタウン大学にて博士号(経済学)取得。中国金融40人論壇メンバー、中国環境と開発に関する国際協力委員会グリーンファイナンス研究会副会長、人民大学エコファイナンス研究センターディレクター、財経大学グリーンファイナンス対話フォーラム共同議長、国際金融フォーラム学術委員、世界経済フォーラム国際金融制度アジェンダ委員、復旦大学兼任教授。
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ヨー・リアン・シム
シンガポール取引所(SGX)特別アドバイザー/気候関連の財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)バイスチェア
SGXにおいて上場企業に対し機会とリスク管理に焦点を当てた持続可能性に関する報告の導入を主導。2011年の導入当初は自発的報告であったが2017年からは「comply or explain(遵守せよ、さもなければ説明せよ)」の原則に基づく報告を求めている。シンガポール通貨金融庁にて外貨準備高管理、為替政策実施、資本市場規制に携わった後、SGXで上場企業、メンバーブローカー、取引監視に関するリスク・規制チーフオフィサー等を歴任し、清算・決済の財務リスクや全社的リスクの管理に対応。現在は、気候関連の財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)バイスチェアも務める。シンガポール国立大学及びロンドンビジネススクール卒業。
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金光 英之
富士通株式会社環境・CSR本部長
1987年 富士通株式会社入社。半導体開発部門のエンジニアとして、ウェハプロセス用の技術開発に15年間従事。その後環境本部で、富士通グループ全社の工場、データセンターを含む施設の省エネなどの環境活動を推進。2008年~2012年に赴任しブリュッセルに駐在。EUの環境政策の調査及びロビー活動に従事。2013年に環境本部 グリーンマネジメント統括部長、2015年に同 グリーンビジネスイノベーション統括部長、2016年に環境本部長に就任。