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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を受けての廃棄物管理: 対応から復興へ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は、世界の多くの国々において、前例のない甚大な影響をもたらしました。COVID-19によって引き起こされたパンデミックは、人類が第二次世界大戦後に直面した最大の危機といえます。また、このパンデミックは、廃棄物管理の観点からも、我々の社会を変容させていく上で乗り越えなければならない課題とともにそれを乗り越えるための非常に大きな可能性をも提示しました。

COVID-19がもたらした最も顕著な影響のひとつとして、医療・保健関連の活動から発生した廃棄物の不十分かつ不適切な処理が挙げられ、人体および環境へ重大な影響を及ぼしています。一般廃棄物や、電気電子機器廃棄物(E-waste)、建設および解体廃棄物、産業廃棄物などの廃棄物に加え、こうした医療廃棄物の適切な処理は、より良い廃棄物管理を考える上での大切な課題となっています。

このような状況の中、各国はCOVID-19が及ぼす人体や環境への悪影響を軽減するための緊急時対応策の策定を進めています。また、人々はこのパンデミックからの教訓をもとに、社会をより持続可能かつレジリエンスの高い社会へとリデザインするために尽力しています。

このセッションでは、廃棄物管理におけるCOVID-19の影響について、以下の観点から議論を行います。

  1. COVID-19と廃棄物管理の概要
  2. COVID-19に関するCCET/UNEPの報告書
  3. 発展途上国におけるCOVID-19への対応:ガイドラインと実際のオペレーション
  4. 先進国における状況(環境省)
  5. ガイドラインおよび先進国における対応策をどのように途上国において実現させるか (途上国の代表)
  6. 対応の先へ:よりよい復興へ(ディスカッション)
関連出版物目 的

本セッションは、廃棄物管理の分野においてCOVID-19の流行によって引き起こされた問題と社会の変容への可能性について議論し、今ある課題に対応しながら、より良い廃棄物管理を再構築していく方法を探ることを目的としています。

スピーカー

IGES-UNEP 環境技術連携センター(CCET) センター長

小野川 和延

小野川 和延

IGES-UNEP 環境技術連携センター(CCET) センター長

2012年、シニアフェローとしてIGESに参加。それ以前は2002年から2011年まで国際連合地域開発センター(UNCRD)所長を務め、この間IGESの評議員としてIGESの活動にも参画。1972年京都大学を卒業後、新設された環境庁(現在の環境省)に入庁、水質管理、環境アセスメント、交通環境、地球環境分野での政策立案と日本の国立試験研究機関の環境関連研究の調整に従事。この期間を通じて、環境省とUNCRDに加え、UNEP、IIASA、国立環境研究所、中東欧地域環境センターで勤務。

バンドン工科大学(ITB)、インドネシア、土木環境工学部の環境工学科(DEE)教授

発表資料(2.1MB)

 エンリ・ダマンフリ

エンリ・ダマンフリ

バンドン工科大学(ITB)、インドネシア、土木環境工学部の環境工学科(DEE)教授

1976年以来、廃棄物および有害廃棄物管理、廃棄物の処理及び処分、回収やリサイクルについてITBで教鞭をとる。また、インドネシア全国の廃棄物や有害廃棄物の設計や管理に関するコンサルティングを行っている他、関連する規制や技術ガイダンスづくりにも参加し、インドネシアの固形廃棄物と有害廃棄物の分野において、学術的視点と実践との橋渡し的役割を果たしている。

国連環境計画 国際環境技術センター プログラムオフィサー

本多 俊一

本多 俊一

国連環境計画 国際環境技術センター プログラムオフィサー

本多俊一氏は、環境省国立水俣病総合研究センターで水銀に関する疫学研究に従事した後、環境省廃棄物・リサイクル対策部において、水俣条約やバーゼル条約の交渉担当をしていました。当時、国際交渉に加えてバーゼル条約遵守委員会や電気電子機器廃棄物管理プロジェクト、バーゼル条約における水銀廃棄物管理ガイドラインの執筆担当等をしておりました。

2015年にUNEP IETCへ着任後、水俣条約における水銀廃棄物管理や国際交渉支援、環境上適正な電気電子機器廃棄物や有害廃棄物管理、プラスチック廃棄物管理、廃棄物管理戦略策定、UNEPサステナビリティアクション等多岐にわたるプロジェクトを実施しています。

静岡大学で環境科学の博士号を取得し、清華大学で博士後期課程を修了しています。

IGES-UNEP 環境技術連携センター(CCET)副センター長

プレマクマラ・ジャガット・ディキャラ・ガマラララゲ

プレマクマラ・ジャガット・ディキャラ・ガマラララゲ

IGES-UNEP 環境技術連携センター(CCET)副センター長

開発計画を専門分野とし、25年にわたり学術界、政府、非政府組織、そして二国間および多国間開発機関と協働してきた。2006年に日本福祉大学で開発マネージメントの博士号を取得。現在は、IGES-UNEP環境技術連携センター(CCET)の副センター長として、途上国とその都市における循環的で持続可能な廃棄物管理の改善を支援している。国家レベルおよび地方レベルにおける統合的で総体的な廃棄物管理戦略の開発に従事し、3R(Reduce(削減)、Reuse(再使用)、Recycling(リサイクル))と循環経済・資源効率化社会、廃棄物管理における非公式セクターと女性の参画、廃棄物と気候変動、持続可能な開発目標(SDGs)の繋がりを推進する活動手法と参加型学習の応用に貢献している。

環境省環境再生・資源循環局
廃棄物規制課長

発表資料(1.6MB)

神谷 洋一

神谷 洋一

環境省環境再生・資源循環局 廃棄物規制課長

平成3年環境庁に入庁、以来、環境庁・環境省にて、自動車公害対策、廃棄物越境移動対策、農薬環境対策、PRTR制度、石綿健康被害対策、PCB処理事業などを担当。 近年は、自動車分野や洋上風力発電推進などの地球温暖化対策、環境アセスメント審査、福島第一原発事故被災地における除染事業、土壌汚染対策、大気環境対策などを担当した後、令和2年7月より廃棄物規制課長を務める。

健康・環境および気候行動財団(HECAF360)理事長兼事務局長

マヘーシュ・ナカルミ

マヘーシュ・ナカルミ

健康・環境および気候行動財団(HECAF360)理事長兼事務局長

健康、環境及び有害廃棄物専門家として、クリーンでグリーンかつ気候変動に配慮したヘルスケアシステムをネパールで推進するHECAF 360を設立。

感染性廃棄物処理のスマートソリューションとして非燃焼技術「オートクレーブ」の使用をネパールで初めて活用。各地の病院より要請を受け、彼とHECAF 360チームは、現在までに12の大きな病院と40の小さな診療所でこのごみゼロモデルを展開している。