- 2025年7月29日
- 14:40 - 15:40
- 503 + オンライン
- 同時通訳あり
気候変動対策と持続可能性の促進に向けた地域循環共生圏への民間セクター参画
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要約
気候変動対策と持続可能な開発の相乗的な促進のためには、地域レベルでの包括的かつインパクトのある取り組みが不可欠です。民間セクターには、地域コミュニティや自治体と連携することでこうした取り組みに貢献できる潜在力がある一方、現状では関与が断片的であり、信頼構築等に課題があるとされています。本セッションでは、相乗的な取り組みの実践的手段として注目されている地域循環共生圏アプローチに焦点を当て、民間セクターの参画事例を紹介しました。
阿部哲嗣氏は、2050年までのネット・ゼロ達成に向けた株式会社リコーの取り組みや、日本初のRE100参加企業としての役割、地域共生型の電力購入契約(PPA)を通じた再生可能エネルギー導入の推進、自治体との包括的な連携について紹介しました。さらに、役員報酬制度をサステナビリティ目標に連動させるなど、環境・社会・ガバナンス(ESG)を強化していることも示しました。門林宏英氏は、横浜市では家庭部門の排出割合が高いことを踏まえ、市民の行動変容を促す施策を強化するとともに、市内の中小企業と連携し、サプライチェーン全体での排出削減や循環型経済を推進していることを説明しました。さらに、風力発電や熱供給システムの導入、脱炭素先導地域の指定、官民連携による先進的な実践、地域間連携、持続可能な航空燃料(SAF)の開発など、多様な取り組みを紹介しました。ディパル・チャンドラ・バルア氏は、バングラデシュにおいて、電力網が未整備の農村地域に再生可能エネルギーを届けるために開発された統合型の市場ベースモデルを紹介しました。すでに数百万人に恩恵をもたらしているこの取り組みは、再生可能エネルギー技術が農村部には不向きという従来の見方を打破し、持続可能な地域開発に寄与する可能性を示すものであると強調しました。また、革新的な資金スキームと技術者育成により、農村部で小型の自家用太陽光発電システム(SHS)の普及が進み、持続可能なエネルギーと生活の質の向上が実現されていることにも言及しました。
以上の事例報告を踏まえて、地域循環共生圏の枠組みにおける民間セクターの関与促進に関する議論を行いました。企業・行政・地域コミュニティなど、多様なステークホルダーの連携の重要性を強調するとともに、地域関係者との信頼関係を築き、広域的な展開の基盤となるモデルプロジェクトの必要性を指摘しました。さらに、地域拠点としてのブランド価値の向上や将来的なビジネス機会の創出といったリターンが期待されることから、企業価値を社会的・環境的価値を含めた多面的な指標で捉える思考への転換が求められるとしました。最後に、こうした協働は、今後の政策形成や企業戦略において中心的な役割を担うことが期待されており、持続可能な環境と社会の実現に不可欠であることを改めて確認しました。
パネル討論
三井住友信託銀行株式会社 フェロー役員
三井住友信託銀行株式会社 フェロー役員

金井 司
三井住友信託銀行株式会社 フェロー役員
1983年、住友信託銀行に入社。2003年にサステナビリティ部署の立ち上げを主導し、2018年より現職。この間、同社のサステナビリティ経営の基盤整備、SRI(ESG)ファンドの開発、環境不動産業務の立ち上げ、ポジティブ・インパクト・ファイナンスの開発、テクノロジー・ベースド・ファイナンスチームの組成等を手掛ける。「21世紀金融行動原則」及び「インパクト志向金融宣言」の初代運営委員長。環境省、金融庁、内閣府等の各種委員。書籍、論文等の執筆多数。

ミトラ・ビジョンクマール
IGES サステイナビリティ統合センター
リサーチディレクター

門林 宏英
横浜市 脱炭素・GREEN×EXPO推進局
脱炭素社会移行推進部長
株式会社リコー ESG戦略部 ESGセンター 所長

阿部 哲嗣
株式会社リコー ESG戦略部 ESGセンター 所長
1992年4月、リコー入社。販売事業本部を経て1999年環境部門に異動、環境コミュニケーションを担当。2008年4月、公益社団法人 経済同友会に出向し地球環境問題委員会を担当。2016年よりサステナビリティ部門で全社のサステナビリティ戦略の立案・推進を担当し、RE100への参加宣言、SBT認定、SDGs/ESGの経営戦略への統合等に携わる。日本気候リーダーズパートナーシップ(JCLP)の副代表も務める。

ディパル・チャンドラ・バルア
Bright Green Energy Foundation 創設者/会長