Session
気候変動に打ち勝つ3つの道
低炭素技術移転の活性化に向けた革新的アプローチ
パリ協定及び2030アジェンダ下の目標達成に向けて、開発途上国への低炭素技術移転(LCTT)は引き続き重要な課題である。しかし、数多く存在するLCTTを促進するためのパートナーシップ、プログラム、イニシアチブは、全体を包括する枠組み、協定、評価、またはモニタリング体制が存在していない為に、断片的になり、連係も不足している状況にある。
効果的な調整メカニズムが存在しないことは、LCTTの全てのステップ(研究、開発、実証、市場形成、普及)における取組みや既存のイニシアチブとの間の調整を困難なものにしている。そのため、これらパートナーシップ、プログラム、イニシアチブ等の間の相乗効果を創出する効果的な技術促進メカニズムの構築が早急に求められる。
IGESとUNU-IASは、LCTTを促進するためにこれまで様々な研究活動を実施してきた。本セッションでは、これまでの取組みを通じて得た成果を共有することだけにとどまらず、先進国・開発途上国から政府間機関、研究機関、政府、及び民間部門等で活躍する専門家を招聘し、これまでの成果や、特に以下の項目に関する意見や助言をもとに、今後の展開に結び付ける。
- 1) LCTTのステップ及びステークホルダーの役割間の連係
- 2) ステークホルダーのマッチングを実用的かつ効果的なモデルとするための方策とは?
- 3) 技術促進メカニズムの果たすべき役割とは?
開会挨拶
塚本 直也
UNU-IASプロジェクトディレクター
プレゼンテーション
アブドゥサレム・ラビィ
IGES関西研究センタープログラムマネージャー
パネリスト
デチェン・ツェリン
UN Environment in Asia and the Pacific地域ディレクター
パネリスト
ギリッシュ・セティ
エネルギー資源研究所(TERI)産業エネルギー効率部門シニアディレクター
パネリスト
本郷 尚
三井物産戦略研究所シニア研究フェロー
パネリスト
齊藤 司
IGESフェロー
モデレーター
蟹江 憲史
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授/UNU-IASシニアリサーチフェロー
パネリスト
齊藤 司
IGESフェロー
株式会社日立産機システムにおいて、40年以上にわたり、エアーコンプレッサー及び圧縮空気システムの分野で、設計、品質保証、アフターサービス、経営相談等を含む豊富な経験を持つ。さらに、圧縮空気システムの専門家として講義、現地教育(研修)及び省エネ提案を通じた「省エネ(低炭素化)と排出削減」の考え方(概念)の普及活動を15年以上にわたり国内外で行っている。現在は、IGES関西研究センターフェロー。
モデレーター
蟹江 憲史
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授/UNU-IASシニアリサーチフェロー
東京工業大学准教授(2003年4月~2014年3月)、北九州市立大学講師、助教授(2000年4月~2003年3月)を経て現職。欧州委員会Marie Curie Incoming International Fellow及びパリ政治学院客員教授(2009-2010)などを歴任。Future Earth SDG Knowledge Action Network (KAN) 共同議長、同コアプロジェクトEarth System Governance プロジェクトScientific Steering Committee member、日本政府SDGs推進本部円卓会議委員、内閣府地方創生推進事務局自治体SDGs推進のための有識者会議委員、環境省ステークホルダーズ・ミーティング構成員などを兼任。専門は国際関係論、地球システムガバナンス。2012年度のFSを経て、2013年度から2015年度までは環境省環境研究総合推進費戦略研究プロジェクトS-11(持続可能な開発目標とガバナンスに関する総合的研究プロジェクト)プロジェクトリーダーを務めた。近著書に、Norichika Kanie and Frank Biermann (eds.)(2017) Governing through Goals: Sustainable Development Goals as Governance Innovation, MIT Press; 蟹江憲史編著「持続可能な開発目標とは何か:2030年へ向けた変革のアジェンダ」、ミネルヴァ書房、2017年。
パネリスト
本郷 尚
三井物産戦略研究所シニア研究フェロー
エネルギーと気候変動、水循環と都市インフラ/農業、生物多様性などについて、リスクマネジメントとビジネス化を検討、また市場経済活用を政策提言。ゲームチェンジを提唱。元国際協力銀行特命審議役・環境ビジネス支援室長。国際排出量取引協会理事、DIAS(Data Integration and Analysis System)プロジェクトマネジャー、国際環境議員連盟アドバイザー、国際民間航空機関(ICAO)市場メカニズムタスクフォース、NEDO技術評価委員、ISO TC265 WG6(EOR)など。
パネリスト
ギリッシュ・セティ
エネルギー資源研究所(TERI)産業エネルギー効率部門シニアディレクター
産業部門の省エネ・持続可能な環境開発の分野で31 年以上の経験を持つ。TERIでの主な担当業務は産業エネルギー効率と需要管理に関する戦略的方向付け及び活動調整であり、エネルギー監査、技術アセスメント、分野別研究、能力構築プログラム、エネルギー利用の合理化プロジェクト等が含まれる。加えて、電力規制に関する政策研究、中小企業に省エネ・環境配慮型技術を普及させるアクション・リサーチ、企業の温室効果ガス排出量のインベントリ構築、低炭素技術移転等に関する知見も有する。化学エンジニアであり、インド工科大学(IIT)でエネルギー研究の修士号を取得。また、ドイツ・ケルンの応用科学大学にて「熱帯における技術」修士課程を修了。
パネリスト
デチェン・ツェリン
UN Environment in Asia and the Pacific地域ディレクター
アジア太平洋地域の国連環境担当地域責任者であり、マネジメントとリーダーシップに関して経験が深い。 UNFCCC事務局の気候財政、テクノロジー、キャパシティビルディングのディレクターを努めた。政府及び政府間組織で25年以上の経験を持ち、気候金融、技術開発及び移転、気候適応に関する問題に関する政府間交渉に積極的に携わる。複雑な開発プロジェクトマネジメントの経験も持ち合わせている。博士号(森林経済学及び政策学/チューリッヒの連邦工科大学(Federal Institute of Technology))、公共政策修士号(ジョージタウン大学)、学士号(UCバークレー校)取得。
開会挨拶
塚本 直也
UNU-IASプロジェクトディレクター
1985年東京大学理学部物理学科卒、2005年Johns Hopkins大学環境科学修士。1985年環境庁に入庁。大気汚染、水質汚濁、地域環境管理、地球環境保全など幅広く環境行政に携わる。OECD日本政府代表部、世界銀行本部(ワシントンDC)勤務を経て、2005年から環境省研究調査室長、IPCC/AR4日本政府代表、UNFCCC 適応基金理事会メンバー(理事及び副議長)。2008年環境リスク評価室長: 10万人の子供を妊娠期間から12歳まで追跡して化学物質がこどもの健康へ与える影響を解明する「エコチル調査」を立上げ。2010年国際連携課長、UNFCCC 適応委員会のメンバー。2013年産業廃棄物課長。2014年IGES統括研究プログラムマネージャー/ 事務局長。2016年7月より現職。