持続可能なアジア太平洋に関する
国際フォーラム
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特別ランチセッション
 (7月26日) エネルギー管理における地域の智慧
 (7月27日) アジアにおける温室効果ガスのMRV(計測・報告・検証)の方法論的・制度的枠組みの確立に向けて
公開セミナー
 CDM(クリーン開発メカニズム)のリフォームとその進捗状況:IGESデータベースによる検証
専門家ワークショップ
 専門家ワークショップ:7月25日
 専門家ワークショップ:7月26日
 専門家ワークショップ:7月27日



特別ランチセッション
7月26日 13:15-14:15
エネルギー管理における地域の智慧
東日本大震災で明らかになった課題に対して、地方自治体の政策・成功事例を通じてどのように対応すべきかについて議論を行った。事例研究を活用して低炭素活動に必要な資金調達、制度、技術の3つのテーマを軸に議論を進め、 節電・熱電併給に基づく公共機関、中小企業、家庭への太陽 光発電導入等、地方自治体による様々な省エネ対策を検討 した。低炭素で賢いエネルギー利用を促進するには、地方自 治体と民間部門の連携によるボトムアップが不可欠であり、 再生可能エネルギー需給面での都市間協力も、持続可能な低炭素社会とスマートシティの実現に寄与すること が強調された。また、低炭素社会の発展に向けて、積極的な制度、資金、適切な技術が補完し合う必要性が指摘 された。
モデレーター: 井村 秀文 IGES主任アドバイザー、横浜市立大学特任教授
小林 一彦 北九州市環境局環境未来都市推進室 室長
信時 正人 横浜市温暖化対策統括本部長
山口 健太郎 神奈川県環境農政局新エネルギー・温暖化対策部太陽光発電推進課長
井上 成 三菱地所株式会社都市計画事業室副室長
中川 恒彦 日産自動車株式会社企画・先行技術開発本部主管
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7月27日 12:30-13:15
アジアにおける温室効果ガスのMRV(計測・報告・検証)の方法論的・制度的枠組みの確立に向けて
2013年以降の気候変動枠組みにおける、NAMA(途上国における適切な緩和行動)等の温室効果ガス排出 緩和策や、強固なMRV(計測・報告・検証)枠組みの構築について議論を行った。既存の仕組みを検討すると ともに、国際的・国内的な枠組みや異なる産業部門、異なる地域でMRVを実施する際の問題点を検証し、IGES ISAP2011 International Forum for Sustainable Asia and the Pacific: ISAP 22 ISAP2011 ISAP2011 23 サイドイベントのMRVに関する能力開発活動についても意見交換を行った。対象、目的、求められる厳密性・正確性・透明性によって、MRV枠組みをどう区別すべきかを理解する必要があり、NAMAクレジット等のカーボンクレジットに対しては、より高 度なMRV枠組みや適切な能力開発が必要になる点が指摘された。また、MRV枠組みは、途上国にさらなる措置を促すほど魅力的であると同時に、先進国の支持を得るために十分な信頼性も備えていなければならないとする見解も示さ れた。さらに、緩和保証は、国の利益に沿った強固な国内監視・影響評価(MAE)システムに基づいて行うべきであり、途上国においては、国内MAEシステムの能力に大きな差が存在する可能性があるため、その能力差を埋 めるためには国際社会の協力が必要であるとの指摘が出された。
モデレーター: 平石 尹彦 IGES理事・上級コンサルタント
 フェイ・テン 清華大学准教授 (1.13MB)
 アンチャ・スリニヴァサン アジア開発銀行(ADB)主任研究員 (134KB)
 二宮 康司 IGES市場メカニズムグループディレクター (136KB)
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公開セミナー
15:30-17:30
CDM(クリーン開発メカニズム)のリフォームとその進捗状況:IGESデータベースによる検証
CDM改革の進捗状況や課題について、IGESのCDMデータベースを用いた最新の定量分析結果が紹介され、IGESの分析に基づいた様々なCDM改善案が示された。CDM平均登録日数の短縮とプロセスの効率化が確認された一方で、認証排出量削減クレジット(CER)の発行期間を短くする必要性が指摘され、CER発行ガイドラインもルールを簡素化して改善すべきとの意見が出た。後発開発途上国(LDC)や低電化率の国は再生可能エネルギープロジェクトにおいてグリッド排出係数(GEF)のデフォルト値を採用する必要があり、標準化されたベースラインは、国情を反映しながら、ベースラインやプロジェクトのシナリオを特定するための手続きや、追加性基準を満たす条件を含む必要があるとの指摘があった。また、排出削減量の計算には、デフォルト値や国別の値が採用されたエクセル自動計算シートを使用する必要があるとの意見があった。一連の議論では、特に効率性に関して、CDMの「原則」ではなく「手続き」の改善について強調された。
「標準化ベースラインの開発:フィリピン・バイオガスの例 」 (112KB)
小圷 一久, IGES 市場メカニズムグループ 副ディレクター
「CDMプロセスの長期化によるCER発行予測量への影響」 (305KB)
高橋 健太郎, IGES 市場メカニズムグループ 特任研究員
「極小規模CDM案件への追加性証明不要アプローチの新展開」 (167KB)
大久保 望, IGES 市場メカニズムグループ 研究員
「CDMは後発発展途上国での電化促進に貢献できるか」 (241KB)
福井 祥子, IGES 市場メカニズムグループ 研究補助
「CER発行申請に係るガイドラインの改善提案」 (178KB)
鳥居 直樹, IGES 市場メカニズムグループ 特任研究員
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専門家ワークショップ:7月25日(月)
9:30-16:15
環境と持続可能な開発のためのガバナンス強化:アジア太平洋の視点から
世界経済におけるアジア太平洋地域の存在感が高まり、環境と持続可能性に関する課題が明らかになる中、 専門家と研究者が地域のガバナンスについて議論を行い、ガバナンス強化の重要性を確認した。また、国連の 権限や制度改革の地域的意味合いといった制度改革に関する議論も行い、国連環境計画(UNEP)の二段階強 化、具体的にはUNEP管理理事会に普遍加盟方式を導入し、その後専門機関へ昇格させるという案が示された。国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)や国連環境計画アジア太平洋地域事務所(UNEP ROAP)等の地域機関を強化する案や、新たな地域機関の設立についても議論が行われ、地域・グローバルな「リオ宣言第10原則」提案も発表された。さらに、説明責任、市民の参加、情報へのアクセスの重要性や、多様なステークホルダー内・間の連携強化を含むマルチレベルでのガバナンス強化が強調された。
詳細はこちら
専門家ワークショップ:7月26日(火)
10:00-17:00
アジア太平洋地域における持続可能な開発のための 教育のモニタリング及び評価に関する専門家ワークショップ
国連大学高等研究所とIGESガバナンスと能力グループは、ISAPの一環として、アジア太平洋地域における持続可能な開 発のための教育(ESD)のモニタリング及び評価に関する専門家ワークショップを1日半の日程で開催した。
本ワークショップは、国連持続可能な開発のための教育の10年(UNDESD<2005 -2014>)の枠組みの下、アジア太平 洋地域で実施されているESDをモニター及び評価するために必要な指標を開発するために、両機関の間で実施されて いる研究枠組み作りのプロセスを通じた戦略的支援を提供することに重点が置かれた。
ESD及びモニタリング・評価における15名の専門家を招聘し、主に、ESDのモニタリング及び評価に対する先 行事例における成功要因や障害、指標開発に対する重要なESDテーマ、ESD指標を開発するための地域研究に 向けた概念枠組みの構築について議論を行った。
本ワークショップでは、モニタリングと評価プロセスの主たる便益が、ESDシステムを改善するために必要な適 切な情報を政府や政策決定者に対して提供することである点に合意した。
このような方法で、国レベルのカリキュラム(フォーマル教育及び教員の研修の両方を含む)に対して主に焦点 を置くべきであるとして、インフォーマル教育や民間セクター、市民社会については2次的な対象となっている。
政策決定者の適性を強化するために必要な、制度的な能力と枠組み、人的リソースの能力、さらにアカウンタ ビリティなどの能力アセスメントを中心とした評価フォーマットの構築を目指すことが議論された。また、ESDに おける重要なトレンドとして、指標は気候変動教育、災害リスクの削減及び持続可能な消費と生産/ESDなどの テーマ別トピックについても対象とすべきであるとの言及があった。
 
14:30-17:30(非公開)
アジアにおけるリサイクル認証に関する検討
東アジアで健全な環境管理を推進するツールとして、リサイクル認証の重要性について議論を行った。リサ イクル認証に関する最近の研究が紹介され、日本のリサイクル業者が他のアジア諸国で活動する際の課題が 提起された。認証制度の導入目的や期待される効果、認証項目や基準を含む予備的枠組みについても議論が 交わされ、処分業者による厳格な順守と積極的な取り組み、参加者へのインセンティブメカニズムが重要な要 素として挙げられた。さらに、認証制度が認証参加者の負担になるのではなく、仕組みの設計に関しては、各国 の事情、更新制度の必要性、範囲の明確な設定、重複の是正によるステークホルダーへの負担軽減等を検討す べきとする意見が示された。
 
14:30-17:30(非公開)
将来枠組みに関する葉山プロポーザル
葉山プロポーザルに関するクローズドセッションは、1)それぞれの主要な交渉議題について3つのオプション を議論すること、2)葉山プロポーザルの政治的受容性について意見交換をすること、3)将来気候変動枠組み の主な構成要素(測定・報告・検証体制、柔軟性メカニズム、資金メカニズム等)についての議論を深めること、 を目的として開催され、オーストラリア、中国、インド、インド ネシア、日本、韓国から専門家、研究者、NGO関係者が参加 した。葉山プロポーザルは、法的拘束力という観点からは先 進国と途上国に同様のコミットメントを課し、その不遵守の 結果に対しては差異を設けることから、「法的拘束力」の概 念について特に白熱した議論が行われた。一部の参加者か らは、途上国に対しては国際法の下ではなく、国内法の下で 法的拘束力のあるコミットメントを求めることがより現実的 である等の意見が出された。
 
14:45-17:00(日英同時通訳)
IGES-横浜市立大学共同セミナー:低炭素都市・スマートシティ(第1部)
“スマートシティとは何か? コンセプトと実現へのアプローチ”
地方自治体と民間部門対象の事例研究に基づき、アジアにおける低炭素都市・スマートシティの総合的な 分析結果が発表された。次世代スマートシティの構築に向けた知識共有を目的として、急成長を続けるアジア 諸都市の参考になり得る低炭素政策やスマートシティモデルについて議論が行われた。地方自治体が省エネ や排出削減を促進する長期エネルギー政策へと軸足を移すことが重要であり、そのためには民間部門の省エ ネ潜在力や再生可能エネルギーを含むベストエネルギーミックスを考慮した枠組みを整備しなければならな い。さらに、主要技術やトータルエネルギーミックスのコスト評価を行う必要もあり、エネルギー利用者は、エネルギー密度や持続可能都市のライフサイクルコストの観点で再生可能エネルギー技術を評価すべきであるとの指摘がなされた。課題として(a)グリーンエネルギーの定義、(b)制度上の制約、(c)不十分な太陽光パネル設置助成金の3つが挙げられ、低炭素都市・スマートシティの実現にあたっては、再生可能エネルギー技術の能力開発強化が不可欠であるとの意見が示された。
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専門家ワークショップ:7月27日(水)
 
9:30-12:00 (日英同時通訳)
IGES-横浜市立大学共同セミナー:低炭素都市・スマートシティ(第2部)
“アジア太平洋地区の低炭素都市実現に向けた国際協力”
能力やリソースのギャップを埋めながら低炭素開発を進める地方自治体の方策が話し合われ、アジア太平洋地域におけるステークホルダー間で、低炭素開発を促進するための様々な協力について情報が共有された。低炭素都市開発に向けた自治体レベルでのビジョンやロードマップの構築が重要であるとの指摘があり、地方自治体が既存の政策の相乗効果を図るには、情報基盤が求められ、能力開発や知識共有基盤の提供等、外部支援が大きな役割を果たすとの意見が示された。排出削減においては、需要サイド・供給サイドの二面アプローチでエネルギー管理を行う必要があり、低炭素政策や順守に対するインセンティブを分析する評価システムが不可欠であるとする指摘があった。さらに、低炭素都市・スマートシティの開発においては、各都市の特性を理解し、市民の視点も取り入れることの重要性が示された。
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9:30-11:00 (非公開)
自治体連携を考慮に入れた被災地支援、復興策についての考案
防災、災害対応及び気候変動適応策との関連性を、日本、バングラデシュ、ニュージーランドの事例を含めて様々な視点から考察した。災害対応、対応力、コミュニティベースのアプローチに関する専門家の知見が紹介され、正確かつ適切なコミュニケーション、情報共有、危機管理アプローチ等、中央政府と県、地域社会を含む地方自治体が連携して取り組むことの重要性が議論された。地域性や社会、災害の種類を考慮しながら災害に対して対応力のあるコミュニティを作ることが大切であり、自治体、市町村、学校、産業界が長期的なパートナーシップを築くことも災害対応に効果的であることが確認された。
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9:30-12:00 (非公開)
アジア途上国におけるMRV(計測・報告・検証)の方法論的・制度的枠組みの確立
アジア諸国においてNAMA(途上国における適切な緩和 行動)に関する強固なMRV枠組みを構築するためにIGESが実施している様々なMRVプロジェクトの計画を共有した。専門家の間で共通の理解を深め、NAMA及びMRVに関する現行の議論や国際交渉から教訓を引き出すことが重要であり、一方で、失敗例からはMRVの課題や国際的に支持されているNAMAからの対案を認識することができる。NAMAの定 義が明確でないという問題が指摘されたが、事例研究からNAMAのコンセプトを把握することが可能であり、2013年以降の枠組みにおいて各NAMAに対する適切なMRV枠組みを構築することの重要性について議論を行った。また、緩和行動のみならず、NAMAのコベネフィットの計測に関する課題も提起された。IGESの活動・研究が、MRV枠組みに関する国際交渉に寄与することが期待されている。
 
9:30-12:30 (非公開)
アジアにおける低炭素技術の適用:インドを事例として
アジア、とりわけインドにおける低炭素技術の適用推進に向けて、官民パートナーシップを強化する効果的 なスキームを検討した。アジアでは、高い資本コストや研究開発不足が技術適用の主な障害となっており、技 術コストを引き下げ、他の組織的な課題を解消するために、低炭素技術移転の効果的なグローバルメカニズ ムを構築することの重要性について議論を深めた。低炭素技術に関する受益国の現状を包括的に評価するこ とは不可欠であり、低炭素技術の適用を促進するためのインフラ整備や制度・資金面の支援は、各国政府の責 任である。省エネを阻む要因としてエネルギー価格設定が挙げられ、途上国政府はインセンティブや価格設定に関する政策を見直すべきとの意見が示された。アジア太平洋途上国では、国によって低炭素技術(例:クリーン・コール)、再生可能エネルギー、廃棄物発電、原子力エネルギー、バイオマスガス化、バイオ燃料等の導入にばらつきがあることが確認された。また、意識向上を図るための中小企業を対象とした省エネ技術に関する教育プログラムや、省エネにおける成功事例や対策の重要性についても活発な意見交換を行った。
 
9:00-12:30(会場:UNU-IAS)
UNU- IAS -IGES -ACP共同会合:
アジアにおけるグリーン成長―コベネフィットの主流化
政府機関、国際機関、研究機関から40名が参加する中、(1)グリーン成長とコベネフィットとの関係、(2)コベ ネフィットに関する研究者の視点、(3)コベネフィットに関する政策立案者の視点について議論を行い、情報交 換を通じて、アジアにおける意思決定プロセスにコベネフィットを主流化させるための実際的な対策を検討し た。議論の論点として、(1)コベネフィットとグリーン成長において重複するものは貧困緩和と資源効率化であ る点、(2)コベネフィットを政策立案プロセスに組み込み、調整・能力等、制度上の問題に取り組むことの重要性 が増している点、(3)コベネフィットの計算ツールにより、厳密な評価以前に便益の範囲が示される点、が挙げられた。また、コベネフィットは定量化が難しく、対策を講じる十分なインセンティブがないという認識を変えることの重要性が指摘されるとともに、プロジェクト立案の第一歩として環境影響評価の有益性が示された。さらに、コベネフィットに取り組む際には、プロジェクト案の中で、資金調達、実施、受益といった役割を誰が担うのかについて明確にする必要がある点が示唆された。
 
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