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コ・イノベーションによるアジアへの日本の技術移転推進の可能性

COVID-19 を受けて各国が経済を活性化させようとする中で、2つの課題が明らかになってきています。1つは、多くの途上国が経済回復を加速させるために技術移転を検討しているということ。そしてもう1つは、高いコストと輸入技術の適応性の低さ、さらには自給率の向上を望む声が、多くの開発途上国にとって技術移転の大きな障壁となっているということです。そのため、新しい技術移転のモデルが必要とされているのです。

本セッションの目的は、そのような新しい技術移転モデルについてと、アジアで日本の技術移転を促進する上でのその潜在的な役割について議論することです。技術を共同で革新し、製造し、スケールアップするための協調的かつ反復的なアプローチとしての「コ・イノベーション」に焦点を当て、コ・イノベーションの核となる特徴を詳細に説明します。そして、専門家や実務家によるパネルディスカッションを行い、アジアの急成長する技術ニーズに、日本が対応するために必要なコ・イノベーションの可能性について議論します。

スピーカー

IGES 特別政策アドバイザー

森 秀行

森 秀行

IGES 特別政策アドバイザー

京都大学大学院工学部工業化学科修士課程修了。1977年環境庁(現環境省)入庁。アジア開発銀行環境専門官、国連高等難民弁務官、環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課研究調査室長、国連環境計画GEF担当ポートフォリオマネージャーなどを経て、2003年にIGES 長期展望・政策統合プロジェクトリーダーに就任。慶応大学大学院政策・メディア研究科 特別研究教授(2008年~2010年)。2010年4月から2020年10月までIGES所長を務め、2020年11月より現職。

IGES 気候変動とエネルギー領域
ディレクター/上席研究員

田村 堅太郎

田村 堅太郎

IGES 気候変動とエネルギー領域 ディレクター/上席研究員

ロンドン大学経済政治学院(LSE)大学院博士課程修了(国際関係学博士)。
横浜国立大学エコテクノロジー・ラボラトリー講師を経て、2003年よりIGES勤務。研究テーマは国際気候変動枠組みの制度設計および主要国の気候・エネルギー政策決定プロセス。気候・エネルギー政策の分野で多くの査読論文、編集本を出版している。

IGES 持続可能性ガバナンスセンター リサーチリーダー

エリック・ザスマン

エリック・ザスマン

IGES 持続可能性ガバナンスセンター リサーチリーダー

IGESの持続可能性ガバナンスセンター リサーチリーダー。テキサス大学オースティン校公共政策およびアジア研究にて修士号取得、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)にて政治学博士号を取得。過去20年間にわたりアジアの環境課題を主な研究対象とし、中国での水不足や大気汚染規制、環境規制分野での研究論文や出版物を多数執筆。中国の黄河管理委員会や環境科学研究アカデミーとも協働。現在、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書(第17章)のリードオーサーを務めている。

エネルギー・環境・水資源カウンシル CEO・創設者

発表資料(527KB)

アルナバ・ゴーシュ

アルナバ・ゴーシュ

エネルギー・環境・水資源カウンシル CEO・創設者

アルナバ・ゴーシュ博士は、公共政策の専門家、アドバイザー、著者、コラムニスト、そして制度構築者である。エネルギー・環境・水評議会(CEEW; the Council on Energy, Environment and Water)の創設者兼CEOとして、2010年以来、7年連続でCEEWをアジアトップランクの政策研究機関に導く。また、国際太陽光同盟の概念化と設計に携わり、クリーンエネルギーアクセスネットワーク(CLEAN)を共同設立。2018年、国連事務総長はゴーシュ博士を国連の開発政策委員会に指名。2020年、インド政府はゴーシュ博士をインドの科学・技術・イノベーション政策(Science, Technology and Innovation Policy; STIP2020)のエネルギー・環境・気候変動追跡の共同議長に任命している。また、世界経済フォーラムのグローバル・フューチャー・カウンシルズ オン クリーンエアの共同議長を務める。4冊の本の共著者・編集者であり、プリンストン大学、オックスフォード大学、UNDP(ニューヨーク)、WTO(ジュネーブ)で働いた経験を持ち、Jobs, Growth and Sustainability: A New Social Contract for India’s Recoveryの主執筆者である。

国連アジア太平洋経済社会委員会(UN ESCAP)、アジア太平洋技術移転センター(APCTT)、所長

発表資料(1.2MB)

榎本 道子

榎本 道子

国連アジア太平洋経済社会委員会(UN ESCAP)、アジア太平洋技術移転センター(APCTT)、所長

アジア太平洋技術移転センターは、インドのニューデリーにあり、国連アジア太平洋経済社会委員会の加盟国に対して技術革新や技術移転の促進を行っている国連地域機関であり、榎本氏は同センターを通じ、UNESCAP加盟国政府への政策提言、人材育成、加盟国間の協力推進活動を行っている。

APCTT在任以前は10年以上に渡りスイスのジュネーブにある国際連合欧州経済委員会(UNECE)に在任し、The Committee on Innovation, Competitiveness and Public-Private Partnerships(CICPPP)の書記官とし科学技術イノベーション政策をリードしてきた。また、投資における知的所有権の保護と実施に関するUNECEのアドバイザリーグループの書記官としても従事した経験も持つ。

環境技術、情報通信技術政策、効率的な国際的取引のためのインターネット活用法に関するイノベーション政策を記した著書を数多く出版されている。

エネルギー資源研究所(TERI)
エネルギープログラム
シニアディレクター

ギリシュ・セティ

ギリシュ・セティ

エネルギー資源研究所(TERI) エネルギープログラム シニアディレクター

ギリシュ・セティ氏は、インドにあるエネルギー資源研究所 (TERI)のエネルギープログラムのシニアディレクターであり、エネルギー、環境、持続可能な開発の分野において35年以上の経験を持つ。

セティ氏はTERIで主に、戦略的方向性の提供と、需要側の管理を含む産業エネルギー効率、再生可能エネルギー、燃料、及び電力に関する活動の調整の責任を担い、これらには、省エネ研究、技術評価、セクター研究、需要予測、能力開発プログラム、及びエネルギーの合理的な使用に関するプロジェクトが含まれる。

その他の関心分野には、企業レベルの温室効果ガス排出・吸収目録と、気候変動に関連した技術移転及び低炭素エネルギー技術の促進に関する分野が含まれる。

セティ氏は、エネルギーと環境に関する様々な面について、様々な国で開催された国際フォーラムにTERI代表として参加してきた。

化学エンジニアであり、ニューデリーのインド工科大学でエネルギー研究の修士号を取得、また、ドイツのケルンにある応用科学大学で「熱帯における技術」に関する学際的な修士課程を修了している。

IGES 気候変動とエネルギー領域 リサーチマネージャー; 地域コーディネーター(南アジア担当)

発表資料(623KB)

ナンダクマール・ジャナルダナン

ナンダクマール・ジャナルダナン

IGES 気候変動とエネルギー領域 リサーチマネージャー; 地域コーディネーター(南アジア担当)

ナンダクマール・ジャナルダナン博士は、地球環境戦略研究機関(IGES)の気候変動とエネルギー領域のリサーチマネージャーと、南アジア事業の地域コーディネーターを兼任している。

エネルギーと気候政策を専門とし、エネルギー地政学、再生可能エネルギー、原子力に関する研究にも関心を持ち、国際的に評価の高い政策シンクタンク、研究機関、大学とも協力関係を持っている。

TLV India ジェネラルマネージャー/インド業務現地代表

発表資料(1.2MB)

ペウシュ・ジャイトリー

ペウシュ・ジャイトリー

TLV India ジェネラルマネージャー/インド業務現地代表

学士(科学)を保有し、1990年にインドのテランガーナにある国立工科大学ワランガル校の電子通信工学部を卒業。また、インド経営大学院バンガロール校にてマネジメントコース修了。

蒸気工学及び制御計装の分野において、様々なタイプの業界に向けた販売、マーケティング、及び事業開発を30年に渡り行う。パフォーマンスの向上、省エネ、機械保護を目的とした自動解法、分析、様々なパラメータ測定を提供している。アメリカ、ドイツ、スイス、イギリス、日本の数多くの外国企業と仕事をしてきた経験を持つ。

アジア開発銀行(ADB)
主任気候変動スペシャリスト

発表資料(2.6MB)

ヴィレンダー・クマール・ドゥガル

ヴィレンダー・クマール・ドゥガル

アジア開発銀行(ADB) 主任気候変動スペシャリスト


ドゥガル氏は、気候変動の緩和、カーボンファイナンス、国際貿易協力の分野で確かな実績を持つ、経験豊かな専門家です。信託基金管理、ポートフォリオ管理、能力開発、アドバイザリーサービス、プロジェクト開発、技術移転/普及、および戦略的コラボレーションの分野で、多国間、公的機関、および民間セクターの機関で働いた豊富な経験があります。

ドゥガル氏は現在、アジア太平洋地域での緩和行動のためのカーボンファイナンスと技術的能力開発のサポートを提供するアジア開発銀行の炭素市場プログラムを主導しています。

彼はまた、パリ協定第6条に基づいて追及される緩和行動を支援するためにカーボンファイナンスを導入することを目的としたアジア開発銀行の2020年以降の炭素基金であるClimate Catalyst Action Fundにも取り組んでいます。