地球規模の「三重の危機(気候変動、生物多様性の損失、汚染)」に対処するシナジーアプローチとして、ランドスケープアプローチが注目されています。こうした中、世界中の多様な地域の文脈において、国際目標と連動したランドスケープアプローチを推進する方法を見出すことが重要となっています。
特に生物多様性の分野においては、昆明・モントリオール生物多様性枠組(KMGBF)の目標3(Target 3)を達成するために、保護地域と「その他の効果的な地域ベースの保全策(OECM)」の双方を通じて、実効性のある保全地域を拡大することが求められています。トップダウンで設定される傾向にある保護地域とは異なり、OECMは地域の主体的な取り組みや伝統的知見、持続可能な資源管理に大きく依存しています。
こうした文脈において、SATOYAMAイニシアティブのもとで世界的に推進されている里山・里海の概念である「社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(Socio-Ecological Production Landscapes and Seascapes: SEPLS)」は、生物多様性の保全と人々のウェルビーイング(豊かな暮らし)を両立させるための重要なランドスケープアプローチを提供します。
本セッションでは、効果的なSEPLSの管理がどのように生物多様性を向上させ、OECMとしての認定・評価につながるかを探ります。里山保全支援メカニズム(SATOYAMA Development Mechanism: SDM)のプロジェクト実施団体や政府機関の担当者をスピーカーに迎え、OECMの推進および持続可能な生物多様性管理に向けた取り組み、実践的な教訓、そして知見を共有します。
開会挨拶

登壇者


登壇者
ウルリカ・オーベリ
国際自然保護連合(IUCN)、シニアプログラムオフィサー
ウルリカ・オーベリは、IUCNの「保護・保全・遺産地域チーム」に所属するシニア・プログラム・オフィサーであり、OECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する地域)のグローバル・コーディネーターを務めています。ウルリカは同チームの淡水担当窓口として、アルバニアのヴィオサ川の保全と効果的な管理に関するIUCNの取り組みを主導しています。また、IUCNの「多国間指定地域(MIDA)」に関する活動にも貢献しています。地理学の博士号を取得しており、河川地形学、河川再生、モニタリングおよび評価の分野での経験を有しています。

登壇者
アンドレア・カリスパ
Fundación para la Investigación y el Desarrollo Social (FIDES)、環境コンサルタント
FIDESの環境技術者。持続可能な地域開発プロジェクトの経験を持ち、先住民の知恵を取り入れた統合的なアプローチを用いて、エクアドル・マナビ県のポルトビエホ川河口地域における有機米生産、伝統的な塩の生産、地域密着型観光などの持続可能な地域活動に対し支援を行っている。

登壇者
スランジャン・コディトゥワック
Green Movement of Sri Lanka, Chairperson (GMSL)、 理事長 / CEO
再生可能な社会環境および社会経済モデルの統合的開発(ホリスティック開発)に取り組んでおり、政策提言、環境保全、および総合的社会経済思想の実践的応用において36年の経験を有する。
環境ジャーナリストおよび社会問題のクリエイティブライターとしてキャリアをスタートさせた同氏は、危機管理のための総合的モデル構築の専門家として、UNFCCC(国連気候変動枠組条約)やCOP(締約国会議)交渉においてスリランカの取り組みに不可欠な役割を果たし、気候危機が議論された核心的会合では政府交渉団のメンバーを務めた。
また、More & Better Campaignのグローバルガバナンス評議会委員、Asia-Pacific Research Networkの地域ガバナンス評議会委員、BACGのグローバルガバナンス評議会委員、Reality of Aid Networkのグローバルガバナンス評議会委員、アジア開発銀行(ADB)NGOフォーラムの国際委員会委員、およびCDDEの地域評議会委員などを歴任した。
現在は食料安全保障に関する大統領タスクフォースのメンバーを務めており、2022年から2023年にかけては「地域社会の生計および生物多様性向上(COLIBRI)」プロジェクトのチームリーダー兼プロジェクトマネージャーを務めた。さらに、環境省と連携して「保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM)」に関するコンサルタントとして活動し、OECMの特定、認定、保全計画、ならびに関連する政策・制度プロセスに対する技術的・戦略的支援を提供している。
その他にも、中央環境庁(CEA)理事会メンバー(2006〜2009年)、持続可能エネルギー庁(SEA)理事会メンバー(2010〜2012年)、UNDP/GEF/SGPの国家運営委員会メンバー(2004〜2010年および2026〜2029年)などを務めた。現在は、マハウェリ開発・環境省における国連の環境保全系国家プロジェクトの運営委員会代表を務めている。2002年には、最優秀若手環境NGOリーダーシップ部門で「スリランカ・グリーン・アワード」を受賞した。
2005年以降は、スリランカで増加する災害に対する持続可能な適応・軽減措置の追求に携わり、国家防災センターの設立プロセスと緊密に連携しながら、草の根レベルの優良事例を国家レベルへとつなげる活動を行っている。コミュニティ主体・地域主導のプロセスこそが最も持続可能な解決策であるという信念のもと、コミュニティに基づく防災・危機管理(CBDRM)プロセスを通じて、メンター兼実践者として貢献している。

登壇者
林 其徹
台湾農業部林業及自然保育署 保育管理部 科長
台湾農業部林業及自然保育署(FANCA)保育管理部、科長。人と野生生物の共存、インセンティブに基づく保全、生物多様性に配慮した生産およびバリューチェーンを専門としている。現在は、コミュニティ主導型およびランドスケープ・アプローチを通じて、生物多様性の保全と地域住民の生計をいかに結びつけ、保護区を越えた保全活動を強化できるかを研究している。

登壇者
藤本 泰樹
環境省 生物多様性戦略推進室 室長補佐
国際的な生物多様性政策や保全の取組に携わっている。森林所有者への森林保全の活動に対する金銭的インセンティブを提供する制度や絶滅危惧種の保護など、さまざまな生態系保全にかかるプロジェクトに関与してきた。現在は、「SATOYAMAイニシアティブ」および「生物多様性日本基金」に関連する業務を担当している。専門分野は生態学、持続可能な資源管理、および持続可能な開発である。
閉会挨拶

登壇者
羽井佐 幸宏
環境省 生物多様性戦略推進室 室長

本イベントは、環境省(MOEJ)と国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)の共催で開催します。
