人類が今後も繁栄でき、回復力があり安定した地球を維持するための閾値・境界を明確化する研究において、プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)という概念が提唱されてきた。同研究によると、人間の活動の結果、9つのうち4つの環境分野(生物多様性、気候変動など)では、安全とされる閾値を超過しており危機的な状況が迫っているという。そのため、パリ協定やSDGsの目標達成を含む変革的行動をさらに促進することが重要となる。
本セッションでは、プラネタリー・バウンダリーの分析を踏まえつつ、持続可能な社会の実現を目指し、環境・社会・経済面などでの統合的で革新的なアプローチを検討する。この分野において、IGESとパートナーがこれまでに得た成果と教訓を見直し、変革的行動を促進するための具体的な方策を議論する。
ストックホルム・レジリエンス・センター(SRC)所長 / ストックホルム大学教授
キーノートスピーチ
ヨハン・ロックストローム
ストックホルム・レジリエンス・センター(SRC)所長 / ストックホルム大学教授
レジリエンス、地球規模の持続可能性、そして持続可能な開発分野において世界をリードする環境科学者。現在はストックホルム大学で水システムと地球の持続可能性の教授として教鞭を握り、またストックホルム・レジリエンス・センターでは所長を務めている。2018年10月よりポツダム気候影響研究所の共同理事として就任することが決定している。
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 代表理事
キーノートスピーチ
有馬 利男
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 代表理事
1942年生まれ、鹿児島県鹿児島市出身。
1967年国際基督教大学教養学部卒業。同年富士ゼロックスに入社。総合企画部長、米国ゼロックス・インターナショナル・パートナーズCEO、富士ゼロックス代表取締役社長を経て、2012年4月から現職。社長在任時に経営改革を推進する一方、「企業品質」コンセプトを打ち出すなど、CSR経営に尽力した。2007年から2018年6月まで国連グローバル・コンパクトのボードメンバーとして活躍。キリンホールディングス株式会社、株式会社りそなホールディングスの社外取締役に就任し、企業と社会的な活動を広げている。
地球環境ファシリティ(GEF)CEO兼議長 / 持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)ジャパン国際アドバイザー
石井 菜穂子
地球環境ファシリティ(GEF)CEO兼議長 / 持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)ジャパン国際アドバイザー
2012年6月から地球環境ファシリティ(GEF)のCEO兼評議会議長を務める。前職の財務省副財務官在職中には、日本の国際開発金融政策や、気候変動や生物多様性等の環境問題に対する日本の地球環境政策を統括。また、緑の気候基金の創設に向けた移行委員会の日本代表も務めた。主として国際畑を中心に勤務し、キャリアの半分を世界銀行や国際通貨基金(IMF)など国際機関で過ごす。世界銀行スリランカ・モルディブ担当局長(2006~2010年)、同銀行東アジア局ベトナム担当プログラムコーディネーター(1997~2001年)、ハーバード大学国際開発研究所プロジェクトマネジャー(1996~1997年)、IMFアフリカ・アジア担当エコノミスト(1992年〜1995年)、ハーバード大学国際問題研究所客員研究員(1984~1985年)等を歴任。慶應義塾大学で持続可能な開発と環境について教鞭を執った経験もあり、サントリー学芸賞(1990年)や国際開発研究大来賞(2004年)を受賞するなど執筆活動も多彩。第一回円城寺次郎記念賞受賞(2006年)。東京大学博士。
ワンガリ・マータイ平和環境学研究所 所長
ヘンリー・ムテンベイ
ワンガリ・マータイ平和環境学研究所 所長
ギーセン大学博士号取得。23年間、ナイロビ大学で博士課程理事やその他プロジェクトのシニアマネージャーを務める。現在はワンガリ・マータイ平和環境学研究所所長。また、高等教育委員会の(教育の)質を保証する担当の委員や国立バイオセーフティ委員会のメンバーとしても従事したほか、国レベルでは災害対応プロジェクトのコーディネーターも経験。他にもケンブリッジ大学(2009)、ブラジルのエンブラパ研究所(2010)などで勤務。経験分野は多岐にわたり、動物医学、農業、大規模災害運営、環境経営学など。
環境省 総合環境政策 統括官
中井 徳太郎
環境省 総合環境政策 統括官
東京大学法学部卒業。大蔵省入省後、主計局主査などを経て、富山県庁へ出向。日本海学の確立・普及に携わる。その後、財務省理財局計画官、財務省主計局主計官(農林水産省担当)などを経て、東日本大震災後の 2011年7月の異動で環境省に。総合環境政策局総務課長、大臣官房会計課長、大臣官房秘書課長、大臣官房審議官、廃棄物・リサイクル対策部長を経て、2017年7月より現職。
北九州市 副市長
今永 博
北九州市 副市長
1956年2月生まれ。1978年、広島大学工学部卒業後、北九州市入職。港湾局企画部計画課長、建設局道路部道路計画課長、環境局環境産業政策室長、環境局環境経済部長、小倉南区長、建築都市局長、環境局長、建設局長を歴任し、2014年から現職。
IGES 理事長
モデレーター
武内 和彦
IGES 理事長
1974年東京大学理学部卒業、1976年同大学院農学系研究科修士課程修了。農学博士。東京大学アジア生物資源環境研究センター教授などを経て、1997年より2012年まで同大学院農学生命科学研究科教授、2008年より2016年6月まで国連大学副学長・上級副学長。2012年4月より東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)機構長、教授・特任教授。2017年7月より公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)理事長。中央環境審議会会長、日本学術会議副会長、Sustainability Science誌(Springer)編集長などを兼務。
専門は、緑地環境学、地域生態学、サステイナビリティ学。