今世紀後半までの脱炭素化を目指すことを国際的に合意したパリ協定は、COP21で採択された後、2016年には発効し、その後パリ協定の実施に向けた細則、いわゆるパリ・ルールブック作成に向けた国際交渉が続いている。この交渉は本年12月のCOP24における決着を目指しており、現段階では多数のオプションが併記されている状況である。
こうした背景を踏まえて、本セッションにおいては、まず国際交渉の現状に関する最新状況を紹介した後、IGES研究員より、COP24で採択されるべきパリ・ルールブックの重要な要素、具体的には国内政策や企業戦略への影響が大きい、透明性、削減目標、市場メカニズム、資金、グローバルストックテイクに関して具体的な提案を行う。
IGES 上席研究員 / PEARカーボンオフセット・イニシアティブ 代表取締役
松尾 直樹
IGES 上席研究員 / PEARカーボンオフセット・イニシアティブ 代表取締役
IGES発足当時、京都議定書ルール策定に様々な提言を行った。それが世界最初のCDM方法論承認に結びついている。今また、パリ協定のルール策定プロセスに寄与し、国際制度提言を行うために、再びIGESで戦略研究を実施。
気候変動とエネルギーの専門家として、COP 1前から国際交渉に関与、UNFCCCの審査プロセスも最初から20年以上参加してきている。その他、途上国未電化家庭への太陽光システム普及ビジネス等も行う。大阪大学大学院理学研究科物理学専攻、理学博士。
IGES 気候変動とエネルギー領域
ディレクター
水野 勇史
IGES 気候変動とエネルギー領域 ディレクター
大手シンクタンクを経て、2007年からIGESにて気候変動に関する新たな国際枠組みの研究や、クリーン開発メカニズムに関する途上国協力を行う。2011年から2016年まで、環境省地球環境局市場メカニズム室国際企画官として、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)における国際交渉、二国間クレジット制度(JCM)に関する協力、京都議定書遵守のための日本政府登録簿の運営管理等に従事。パリ協定を採択したCOP21には、日本政府代表団における市場メカニズムに関するリード交渉官として参加。2016年10月より現職。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科において博士号(学術)取得。東京都市大学環境学部非常勤講師。2016年10月より現職。
IGES 北九州アーバンセンター
研究員
大田 純子
IGES 北九州アーバンセンター 研究員
2006-2008年、在ドイツ日本大使館の専門調査員として、日本政府代表団における国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の国際交渉および同事務局とのリエゾンに従事。2018年よりは、IGESより同交渉に参加。主に、適応基金、資金、途上国支援を担当。2012-2014年、国際協力機構(JICA)の専門家として、インドネシアの国家気候変動適応行動計画の策定のため国家開発企画庁(BAPENAS)を支援。米国・ハワイ大学(学士)、ラトガーズ大学大学院(修士)卒業。
IGES 気候変動とエネルギー領域
研究員
池田 恵理
IGES 気候変動とエネルギー領域 研究員
気候変動政策分野、主に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)における国際交渉(グローバルストックテイクやタラノア対話など)に関する業務に2017年より従事。エラスムス大学ロッテルダム校国際社会研究大学院(開発学・環境と持続可能な開発専攻)修士号取得。現在同大学院博士課程に在籍。
名古屋大学 大学院 環境学研究科 教授
(国際法・環境法)
モデレーター
高村 ゆかり
名古屋大学 大学院 環境学研究科 教授(国際法・環境法)
1964年生まれ。専門は国際法、環境法。京都大学法学部卒、一橋大学大学院博士後期課程単位取得退学。静岡大学助教授、龍谷大学教授などを経て現職。日本学術会議会員、環境省中央環境審議会委員、再生可能エネルギー固定価格買取制度調達価格等算定委員会委員などを務める。主な編著作等として『気候変動政策のダイナミズム』(新澤秀則との共編著)(2015年)、ʻClimate Change and Small Island Claims in the Pacificʼ, in Ruppel, O.C. et al. eds.,Climate Change: Legal Responses and Global Responsibility Volume I(2013); Chapter Japan in Lord, R. et al. eds., Climate Change Liability(2011).