持続可能な開発目標(SDGs)は、各目標およびそのターゲット間の相互作用を考慮して、すべてのSDGを効率的に達成することが望まれる。本セッションでは、統合的な政策立案と実施を促すSDG相互作用の理解向上を促すことを目的とし、各ターゲット間の相互作用における相乗効果とトレードオフを定量化する「SDGsの各目標の相関性がわかるデータ可視化ウェブツール」やその応用例を紹介する。また、IGESのフラグシップ(旗艦)研究報告書でまとめた持続可能な消費と生産、気候変動と緩和、持続可能な都市、企業といった様々な分野での分析に基づく政策的提言を共有する。
IGES 戦略的定量分析センター
リサーチリーダー
周 新
現在、IGESの戦略的定量分析センターを統括しながら、持続可能な開発目標(SDGs)の各目標の相関の分析と可視化ツールの開発と応用、緑の投資の雇用効果の評価、および水・エネルギーネクサス(連環)などの研究に従事している。近年、インドネシアにおけるNDCの労働市場への影響の定量分析、日本カーボンプライシングと国境税調整における産業競争力とカーボン・リーケージへの影響のアセスメント、東北アジアにおける環境財・サービス部門の雇用効果の評価、2050年低炭素ナビツールの開発などに従事した。2007年名古屋大学環境学研究科修了、環境学博士。1994年より中国環境保護部・環境経済政策研究センター(PRCEE)に勤務、政策研究ディレクターとして、環境に関する国の政策立案を支える多くの政策研究をリードしていた。中国政府への学術的および社会的貢献が評価され国家科学賞を複数回受賞している。
IGES 戦略的定量分析センター
リサーチマネージャー
ムスタファ・モイヌッディン
IGES 戦略的定量分析センター リサーチマネージャー
国際開発分野で12年の研究経験を有し、IGESにおいてはシニアリサーチャーとして持続可能な開発、グリーンエコノミーや環境関連の職業・労働市場のアセスメント、持続可能なインフラ、低炭素開発のキャパシティービルディング、日本の長期的なエネルギーシナリオについて多数の研究活動を行っている。IGESにおけるSDGsの主要研究員のひとりであり、SDGsの数ある目標と指標の間のインターリンケージに焦点を当てている。その他の研究分野としてエネルギー市場統合、地域間協力、国際貿易にも関心を寄せる。以前はアジア開発銀行研究所やWIPO日本事務所などで研究職に就き、日本の複数の大学で教鞭を執っていた。ベルン大学世界貿易研究所から国際法と経済学の修士号を、横浜国立大学から国際開発学の博士号を取得している。
IGES 戦略的定量分析センター
研究員
昔 宣希(ソク・サニー)
IGES 戦略的定量分析センター 研究員
IGES戦略的定量分析センターにおいて、北東アジアの環境・エネルギー・気候変動に関する政策を研究している。現在、IGESの北東アジアのカーボンプライシング政策及び炭素市場連携プロジェクトを主導しながら、SDGsの政策提言を行う際活用するためIGESが開発したSDGs Interlinkageツールにおいて、民間部門を統合する方法でSDG分析フレームワークの拡張に取り組んでいる。その結果についてはIGESフラッグシップ(旗艦)研究報告書に含まれる予定である。東京大学都市工学研究科修士、京都大学経済学研究科博士。
国連環境計画(UNEP)シニアエコノミスト
シェン・フライ
国連環境計画(UNEP)シニアエコノミスト
国連環境計画(UNEP) シニアエコノミスト。2011年に発表されたUN環境レポート「グリーンエコノミーに向けて:持続可能性と貧困撲滅への道筋」やUN全体レポート「均衡で包含的なグリーンエコノミーに向かって」に携わる。SDGs達成に資する持続可能なインフラの統合化計画に注力。これまで、中国財政部や世界銀行、WWF、コンサベーション・インターナショナルで30年以上の経験があり、2005年よりUNEP勤務。グリーンエコノミー政策評価や統合政策策定、グリーン会計などに造詣が深い。
国連大学サステイナビリティ高等研究所
(UNU-IAS)学術研究官
齊藤 修
国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)学術研究官
米国タフツ大学修士課程(環境政策)を修了。2004年東京農工大学大学院連合農学研究科から博士(農学)学位を取得。大阪大学大学院工学研究科と早稲田大学高等研究所での助教を経て、2011年1月から現職。2011年4月から東京大学客員准教授を兼務。日本の里山・里海のほか、アジアからアフリカの農村地域の生態系サービスを対象として、社会経済変化と気候・生態系変動による影響評価、有効な生態系管理や適応策の提示、その社会実装に重点をおいた研究を進めている。
IGES 戦略マネージメントオフィス
リサーチ・パブリケーション ディレクター
モデレーター
マーク・エルダー
IGES 戦略マネージメントオフィス リサーチ・パブリケーション ディレクター
環境ガバナンス、持続可能なガバナンスをテーマに、持続可能な開発目標(SDGs)、持続可能な開発のためのリオ+20制度的枠組み、越境大気汚染、東アジア地域における環境協力、経済統合、バイオ燃料、地方統治など、多くのプロジェクトをリードしてきた。SDGs分野に関しては、「Scoring the Sustainable Development Goals: Pathways for Asia and the Pacific」を共著。またSustainability誌に「An Optimistic Analysis of the Means of Implementation for Sustainable Development Goals: Thinking about Goals as Means」を寄稿している。
ハーバード大学政治学博士号取得。ミシガン州立大学で政治経済学、国際関係学の准教授を歴任した後、2017年7月より現職。