近年資源効率と循環経済は、気候変動とともにG7/G20プロセスや持続可能な開発アジェンダにおける中心的課題となっている。OECDと国際資源パネル(IRP)は、社会・経済的移行に資源効率及び循環経済が果たす重要な役割についての政策的・科学的知識基盤を確立してきた。EUは資源効率的で低炭素な社会の実現に向けたリーダーシップを発揮している。こうした背景の下、民間セクターは事業機会として資源効率と循環経済の新たなアプローチを始めている。このような世界的な資源効率・循環経済に向けた動きが、日本を始めとしてアジアの経済発展にも大きな影響を与えることが予測される。本セッションにおいては、日本及びアジア太平洋地域における、資源効率及び循環経済への移行に向けた道筋やそれによってもたらされる機会や課題について議論していく。
慶應義塾大学 経済学部 教授
細田 衛士
慶應義塾大学 経済学部 教授
1953年東京生まれ。1977年慶應義塾大学経済学部卒業。博士(経済学)。1983~1985年ブリティッシュ・カウンシル・スカラーとして英国マンチェスター大学留学。 1994年~慶應義塾大学経済学部教授、2001~2005年慶應義塾大学経済学部長。2010~2012年環境経済・政策学会会長、2013~2015年環境科学会会長、2005年~リデュース・リユース・リサイクル推進協議会会長、2014年~3R推進活動フォーラム会長。主要論文:Hosoda, E. (2016) “Interactive aspects of producers and waste‑disposal firms out of a market boundary”, Journal of Economic Structures, 5:7 DOI 10.1186/s40008-016-0038-7. Gonzalez, R. and E. B. Hosoda (2016) “Environmental impact of aircraft emissions and aviation fuel tax in Japan”, Journal of Air Transport Management, Vol. 57, pp. 234-240, Elsevier.など。
国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP) 環境開発部長
ステファノス・フォシュー
国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP) 環境開発部長
ギリシャ・アリストテレス大学自然資源経済博士号取得。環境経営と持続可能な開発領域が専門。UNESCAPでは自然科学経営や都市化、気候変動、持続可能な開発のための2030年アジェンダの企画や調整、運営を行う。前職の国連環境計画(UNEP)では資源効率や都市のレジリエンス、持続可能な生産と消費、グリーンエコノミーなど様々な分野で10年の経験を有する。
フィンランドイノベーション基金(Sitra) 循環経済プロジェクトディレクター
カリ・ヘレヴィ
フィンランドイノベーション基金(Sitra) 循環経済プロジェクトディレクター
フィンランドのイノベーションファンド「Sitra」で循環経済分野を牽引し、多彩な能力を発揮している。これまで、フィンランド技術庁内の「Tekes」で資源効率経済分野を担当し、持続可能なビジネス・経済発展に向けた新たな成長分野を位置づける、グリーン成長プログラムのマネジメントを手がける。Tekesでは、世界のベンチャーキャピタルとフィンランドのスタートアップを結び付けるVigo Accelerator Programmeにも携わる。Tekesシリコンバレーでの勤務経験も数年あり、循環経済や急成長するクリーンテック企業、BRICsなどの開発途上国に特に関心を向けている。
世界経済フォーラム(WEF)
循環経済イニシアチブ統括
アントニア・ガウェル
世界経済フォーラム(WEF)循環経済イニシアチブ統括
世界経済フォーラム(WEF)循環経済イニシアチブ統括。WEF従事前は、国際エネルギー機関の環境・クリーンエネルギー分野のアドバイザーとしてブータン駐在。クリーンエネルギー政策の進捗のモニタリングや評価に携わりG-20等の国際会議に寄与。持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)の気候エネルギー部門の次長も勤める。2006年にはカナダのシンクタンクIISDで「持続可能な未来に貢献するカナダの次世代リーダー」として選出されている。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で環境計画、政策、規制についての修士号取得。トロント大学学士。
IGES-UNEP 環境技術連携センター(CCET)
センター長
モデレーター
小野川 和延
IGES-UNEP 環境技術連携センター(CCET)センター長
2012年、シニアフェローとしてIGESに参加。それ以前は2002年から2011年まで国際連合地域開発センター(UNCRD)所長を務め、この間IGESの評議員としてIGESの活動にも参画。1972年京都大学を卒業後、新設された環境庁(現在の環境省)に入庁、水質管理、環境アセスメント、交通環境、地球環境分野での政策立案と日本の国立試験研究機関の環境関連研究の調整に従事。この期間を通じて、環境省とUNCRDに加え、国連環境計画(UNEP)、国際応用システム分析研究所(IIASA)、国立環境研究所、中東欧地域環境センターで勤務。