Supported by: Asia Pacific Network for Global Change Research (APN)
持続可能な開発に水・エネルギー・食料は不可欠であり、互いに強固な相関関係(連環)にある。水・エネルギー・食料は政策決定においてしばしば別々に議論されてきたが、同時に対処する必要性が顕在化してきた。2011年以降、水・エネルギー・食料ネクサス(WEFN)アプローチが活発に議論され、資源の持続可能な管理のための有用なツールとして提案された。WEFNアプローチは相互に有益なシナジーを創出し、またトレードオフを管理するための透明性のある枠組を提供する。しかし、概念を超えて機能するためには課題が多く残っている。本セッションは水・エネルギー・食料ネクサスアプローチを機能させるにあたり、課題や挑戦、必要な行動について議論する。なお、本セッションではIGESフラグシップ(旗艦)研究文書とイシュー・ブリーフを議論の背景として使用する。
総合地球環境学研究所 教授 / 副所長
谷口 真人
総合地球環境学研究所 教授・副所長
総合地球環境学研究所 教授・副所長、水文学者。日本学術会議特別連携会員。公益社団法人日本地下水学会代表理事・会長。国際水文地質学会副会長。Future Earth Nexus KAN Science Committee メンバー。主な編著に、「Groundwater and subsurface environment in Asia(Springer)」、「地下水流動:モンスーンアジアの資源と循環(共立出版)」などがある。
国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP) 環境開発部長
ステファノス・フォシュー
国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP) 環境開発部長
ギリシャ・アリストテレス大学自然資源経済博士号取得。環境経営と持続可能な開発領域が専門。UNESCAPでは自然科学経営や都市化、気候変動、持続可能な開発のための2030年アジェンダの企画や調整、運営を行う。前職の国連環境計画(UNEP)では資源効率や都市のレジリエンス、持続可能な生産と消費、グリーンエコノミーなど様々な分野で10年の経験を有する。
ヴッパータール気候・環境・エネルギー研究所 リサーチ・フェロー
ユリア・テラポン=プファフ
ヴッパータール気候・環境・エネルギー研究所 リサーチ・フェロー
ヴッパータール研究所にて国家的及び国際的な研究事業をコーディネートしている。2008年トリーア大学で地理学、戦略マネージメント、公法を専攻し、卒業。複数目的の視点からエネルギーセクターの戦略意思決定のプロセスに焦点を当てた博士論文を執筆。発展途上国における再生可能エネルギーの解決策を主要な研究分野としている。アジア、北アフリカ、東アフリカにおける国際的なパートナー機関と地方のステークホルダーと協働した経験を持ち、インパクト評価と意思決定分析の分野を専門とする。
IGES 自然資源・生態系サービス領域 主任研究員
ビジョン・クマール・ミトラ
IGES 自然資源・生態系サービス領域 主任研究員
IGESの水資源専門の主任研究員を務める。2009年11月までリサーチエンジニアとして大成建設技術研究センターにも関わり、土壌・水質汚染の改善にかかるプロジェクトの運営と管理を担当した。水資源管理に関する経験は10年以上にわたる。現在の研究分野は水・エネルギー・食料・気候ネクサス(連環)、都市・地方リンケージ、気候変動における水分野での適応、水環境管理など。最適な意思決定を導きだすため、定量的評価フレームワークを用いて資源配分やトレードオフについての評価を行う。岩手大学生物環境科学博士号取得。
熊本市 環境局 環境推進部 水保全課長
永田 努
熊本市 環境局 環境推進部 水保全課長
1990年熊本市役所入庁。熊本市民の飲料水である地下水の水質・水量保全対策に長年携わる。特に近年は、喫緊の課題である地下水の硝酸性窒素問題解決のための施策に取組んでいる。2015年熊本市水保全課副課長、2016年4月から現職。
セントラルラジャスタン大学 環境科 助教授
デヴェッシュ・シャルマ
セントラルラジャスタン大学 環境科 助教授
統合的な水資源管理と気候変動を専門に15年間の経験を有する。IGES(日本)、AIT(タイ)、SMHI(スウェーデン)、APN(日本)、Thuyloi大学(ベトナム)、UNU(日本)を含む、国内外の研究プロジェクトに従事。国際的な学術誌、書籍、会議プロシーディングス等での執筆多数。研究分野は気候変動、水資源管理、流域管理、統合的な水資源管理、水資源システムのモデリング、地理空間的応用、水・エネルギー・食料の連環。
バングラデシュ工科大学
水・洪水管理研究所(IWFM)教授
タレクル・イスラム
バングラデシュ工科大学 水・洪水管理研究所(IWFM)教授
バングラデシュ工科大学土木工学学士(1994)、水資源工学修士号取得(1996)。IWFMの講師を経て2010年より教授。文部科学省奨学金により渡日、東京大学工学博士号取得(2000)。これまで水資源工学や水資源管理など様々な分野での研究を行い、2003年にはバングラデシュ大学助成委員会による工学・技術分野の最優秀研究者として選出。水や洪水管理に関する講演を国内外で行い、国際的な学術誌や会議で発表した論文は90を超える。
ハノイ自然資源環境大学 講師
ファム・チー・マイ・タオ
ハノイ自然資源環境大学 講師
東京大学の環境工学博士号取得。現在は、ハノイ自然資源環境大学の講師として、環境経営学、再生可能エネルギー、グリーン成長、持続可能な科学、気候変動などのコースを担当している。研究分野は再生可能エネルギーとエネルギー効率、環境・インパクトアセスメント、リスクアセスメント、自然資源管理、生物多様性保全、廃棄物処理技術、持続可能な開発、グリーン成長・経済など多岐にわたる。
IGES 自然資源・生態系サービス領域 プログラムディレクター
モデレーター
ヘンリー・スケーブンス
IGES 自然資源・生態系サービス領域 プログラムディレクター
2004年よりIGESに在籍し、現在は自然資源・生態系サービス領域のリーダーを務めている。マッセー大学で開発学修士号、モナシュ大学で政治学博士号を取得しており、ニュージーランド、オーストラリア、日本の大学で教鞭を執った経験もある。研究分野は貧困や生活、人権問題を中心に、近年は森林伐採の法的問題や、持続可能で参加型の森林マッピングとモニタリング、REDD+の準備状態、そして包含的フィナンシャルサービスにも焦点を当てている。