「神は細部に宿る」。パリ協定の中で合意された国別・5ヵ年の自主的貢献(NDC)という目標だけが先走らず、各国の行動が伴うためにはどのような「ルールブック」のデザインが有効かということを、IGESの戦略研究から提言し、専門家による議論を行う。
そのいわゆるパリ・ルールブックは、現行のプレッジ・アンド・レビュー方式の弱点を補い、外部に向けた「透明性」を超えて進捗を評価し、実際に温室効果ガスの削減に繋がるものでなければならないが、実は、日本の経団連の自主目標+行動計画や省エネ法のエネルギー管理制度のアプローチや経験に、そのヒントがあった。5年サイクルのNDCとそれを補う2年サイクルの透明性枠組みのデザインを工夫し、報告書作成自体がその国のSDGs便益に繋がる能力開発となるような国際制度提案を行う。
IGES 上席研究員 / PEARカーボンオフセット・イニシアティブ代表取締役
松尾 直樹
IGES 上席研究員 / PEARカーボンオフセット・イニシアティブ代表取締役
IGES発足当時、京都議定書ルール策定に様々な提言を行った。それが世界最初のCDM方法論承認に結びついている。今また、パリ協定のルール策定プロセスに寄与し、国際制度提言を行うために、再びIGESで戦略研究を実施。
気候変動とエネルギーの専門家として、COP 1前から国際交渉に関与、UNFCCCの審査プロセスも最初から20年以上参加してきている。その他、途上国未電化家庭への太陽光システム普及ビジネス等も行う。大阪大学大学院理学研究科物理学専攻、理学博士。
IGES 特別研究顧問 / イクレイ日本 理事長
浜中 裕徳
IGES 特別研究顧問 / イクレイ日本 理事長
1967年東京大学工学部都市工学科卒業。1969年4月厚生省入省、1971年7月環境庁創設と共に同庁に出向。その後、外務省出向(経済協力開発機構日本政府代表部)等を経て、1995年7月同企画調整局地球環境部長、2001年1月環境省地球環境局長、同年7月同地球環境審議官。2004年7月環境省を退職。2004年から2010年まで慶應義塾大学環境情報学部教授。2007年4月より2017年6月まで(公財)地球環境戦略研究機関(IGES)理事長。2017年7月よりIGES特別研究顧問。 2005年7月より(一社)イクレイ日本理事長。35年以上にわたり、環境省において地球環境政策の分野で活躍。特に、京都議定書とその実施ルールに関する政府間の交渉や同議定書を実施するための国家政策の作成に尽力。2006年から2008年まで京都議定書遵守委員会共同議長及び同委員会促進部議長。
日本経済団体連合会 環境エネルギー本部 主幹
谷川 喜祥
日本経済団体連合会 環境エネルギー本部 主幹
2016年より現職。経団連低炭素社会実行計画(経済界の自主的取組み)の推進をはじめとする気候変動政策、エネルギー政策全般を担当。これまで、通商政策、国際協力政策、産業政策、科学技術イノベーション政策、成長戦略、行政改革、規制改革、震災復興等の企画・調査に従事。 東京大学経済学部卒業。東京大学、米コロンビア大学、英LSEの修士課程修了。
エネルギー資源研究所(TERI)
上席フェロー
アジャイ・シャンカール
エネルギー資源研究所(TERI)上席フェロー
高知工科大学 フューチャー・デザイン研究所 ディレクター / 総合地球環境学研究所 プログラムディレクター
西條 辰義
高知工科大学 フューチャー・デザイン研究所 ディレクター / 総合地球環境学研究所 プログラムディレクター
カリフォルニア大学、大阪大学、一橋大学等を経て、現在,高知工科大学フューチャー・デザイン研究所ディレクターおよび総合地球環境学研究所プログラムディレクター。
実験経済学の分野で多くの独創的な研究を実施。現在は、仮想将来世代を導入し、「今の利得が減っても、これが将来世代を豊かにするなら、この意思決定・行動そのものがヒトをより幸福にする」というヒトの性質を活かす社会の仕組みのデザインとその実践を通じて、市場と民主制を変革する新たな社会の構築を主テーマにしている。
環境省 大臣官房審議官(地球環境局担当)
小野 洋
環境省 大臣官房審議官(地球環境局担当)
1963年岡山県生まれ。1987年環境庁(現環境省)入庁。水環境保全、大気環境保全、廃棄物処理、国際環境協力、地球環境研究、環境アセスメント、放射性物質汚染対策など様々な環境問題に従事。
2014年7月から現職で、国連気候変動枠組条約下での気候変動交渉、G7及びG20の環境問題、アジア太平洋諸国との二国間環境協力を中心とする地球環境問題に取り組んでいる。
IPCCインベントリータスクフォース(TFI)共同議長 / IGES 上席研究員
モデレーター
田辺 清人
IPCCインベントリータスクフォース(TFI)共同議長 / IGES 上席研究員
東京大学理学系大学院にて気象学を専攻し、1993年に理学修士号(地球物理学)を取得。2013年4月~2015年10月までTFI技術支援ユニット(TSU)部長。2006年IPCCインベントリーガイドラインの作成、国連気候変動枠組条約の非附属書I締約国の国別報告書に関する専門家諮問グループの活動などに従事。2015年10月にIPCC第42回総会でIPCC TFIの共同議長に選出され、現在に至る。