気候変動の影響は国境を越えて全世界に及ぶ。自然資源を共有する国々を擁する南アジアとヒンドゥークシー・ヒマラヤ地域も、その強い影響を受けている。温室効果ガス排出量削減の国別目標(NDCs)や、気候変動への適応計画を通して対応を図っているものの、国境を越えた気候変動の影響に十分に対応できるとはいえない。適応計画の地域協力を推進することは、気候変動の地域影響への取り組みを促し、資源動員、知識移転、適応コミュニケーションといった分野での適応機会を作り出す。パリ協定の下でのグローバル適応目標の達成に向けた適応計画と地域協力の重要性に鑑み、本セッションでは共通の問題に対応する適応計画と地域協力の強化を探る。
国際総合山岳開発センター(ICIMOD)
地域プログラムマネージャー・大気分野担当
アルニコ・パンダイ
国際総合山岳開発センター(ICIMOD)地域プログラムマネージャー・大気分野担当
スイス人の母親とネパール人の父親との間にスイスで生まれ、ネパールで育つ。ハーバード大学で環境科学・公共政策の学士号を取得後、ウィスコンシン大学マディソン校で土地資源に関する修士号、そしてマサチューセッツ工科大学(MIT)にて大気科学の博士号を取得。MITとプリンストン大学で博士研究員を務める。バージニア大学で教鞭をとった後、ICIMODに着任し、現在、ヒンドゥークシー・ヒマラヤ地域における大気汚染に関して、その科学と影響、緩和策等について研究。
茨城大学長
三村 信男
茨城大学長
1949年7月生まれ。1979年、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士)。専門分野は地球環境工学、海岸工学。日本とアジア・太平洋諸国における気候変動の影響評価と適応策に関する研究プロジェクトを推進。1992年以降、国連「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」に専門家として参加し、第2次~第5次評価報告書の主執筆者、総括主執筆者を務めた。国内では、文科省、環境省、国土交通省、外務省、総合科学技術会議、茨城県などの委員を務めた。2014年より茨城大学長。
IGES 理事長
モデレーター
武内 和彦
IGES 理事長
1974年東京大学理学部卒業、1976年同大学院農学系研究科修士課程修了。農学博士。東京大学アジア生物資源環境研究センター教授などを経て、1997年より2012年まで同大学院農学生命科学研究科教授、2008年より2016年6月まで国連大学副学長・上級副学長。2012年4月より東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)機構長、教授・特任教授。2017年7月より公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)理事長。中央環境審議会会長、日本学術会議副会長、Sustainability Science誌(Springer)編集長などを兼務。
専門は、緑地環境学、地域生態学、サステイナビリティ学。
国立環境研究所(NIES)理事長
渡辺 知保
国立環境研究所(NIES)理事長
国立研究開発法人 国立環境研究所 理事長(2017.4月〜)、東京大学名誉教授。専門分野は人類生態学(human ecology)、環境と健康、環境毒性学。保健学博士(東京大学、1991)。著作に『人間の生態学』(共編著、朝倉書店)、『毒性の科学』(共編著,東京大学出版会)、“Sustainability challenges: Elucidating sustainability-health intersections” (共編著、 Current Opinion in Environmental Sustainability 2017、25特集号)など。 Society of Human Ecology副会長(2011〜2017)、日本健康学会理事長(2017〜)などを務める。
国際協力機構(JICA)地球環境部長
武藤 めぐみ
国際協力機構(JICA)地球環境部長
2018年4月、地球環境部長に着任。2015年10月から2018年1月までフランス事務所長を務め、OECD等の国際会議においてJICAを代表。2010年10月から2015年9月までは東南アジア大洋州部のフィリピン担当課長及び次長(含大洋州)として円借款、技術協力、無償資金協力、緊急援助等に携わった。政策研究大学院大学博士(開発経済)、米プリンストン大学修士(MPA)、仏HEC修士(EMBA)、慶応大学経済学部卒。
シンガポール環境庁 気候変動計画部
副部長
ロハヤ・サハロム
シンガポール環境庁 気候変動計画部 副部長
環境保全とマネージメントの分野で25年以上の経験。1990年からシンガポールの環境省でキャリアを積み、2002年に環境庁に入庁した。
これまで、環境庁公害管理部副部長として、大気と水質、危険廃棄物・化学物質、自動車の排気ガス削減、建設騒音に関する公害管理プログラムの実施を監督し、シンガポールが締約国となっている環境協定に関する課題に取り組んだ。
現在は、2019年に始まるシンガポールにおける炭素税の実施枠組みと規定の策定にも関わっている。 また、国境を越える煙霧や危険廃棄物・化学物質、気候変動の影響等、地域的な問題を扱うASEANの作業部会にて、カウンターパートとともに職務を遂行している。
シンガポール国立大学にて化学の学士号、環境エンジニアリングの修士号を取得している。
国連環境計画アジア太平洋地域事務所
地域ディレクター
デチェン・ツェリン
国連環境計画アジア太平洋地域事務所 地域ディレクター
2017年3月より国連環境計画のアジア太平洋地域ディレクターを務める。 政府および政府間組織で25年以上の経験を持ち、マネジメントとリーダーシップに深く携わる。後発開発途上国基金(LDCF)や後発開発途上国専門家グループ(LEG) の立ち上げに貢献。
UNFCCC事務局の気候財政、テクノロジー、キャパシティビルディングのディレクターを務めた。気候金融、技術開発および移転、気候適応に関する問題に関する政府間交渉に積極的に携わる。IGES 自然資源・生態系サービス領域
プログラムディレクター
モデレーター
ヘンリー・スケーブンス
IGES 自然資源・生態系サービス領域 プログラムディレクター
2004年よりIGESに在籍し、現在は自然資源・生態系サービス領域のリーダーを務めている。マッセー大学で開発学修士号、モナシュ大学で政策科学博士号を取得しており、ニュージーランド、オーストラリア、日本の大学で教鞭を持った経験もある。貧困や生活、人権問題を中心に研究の関心を向けており、近年は森林伐採の法的問題や、持続可能で参加型の森林マッピングとモニタリング、REDD+の準備状態、そして包含的フィナンシャルサービスに焦点を当てている。